お線香代ってどんな意味?香典とは何が違うの?
お悔みの場でお渡しするお金の一つであるお線香代は、お線香の代わりにお供えするお金を指しますが、どのようにして生まれた文化なのでしょうか?
まず初めに、お線香代の歴史や意味、香典との違いなど、お線香代の基本を簡単にご説明いたします。
お線香代の意味や歴史とは?
- 弔問(ちょうもん)…お悔みがあったご家庭に対してお参りに行くこと。
お線香代とは、お線香の代わりとして故人様にお供えするお金のことを指します。
通夜や葬儀、法事のほか、「弔問(ちょうもん)」やお盆時期のお参り、お墓参りの際にも持参する場合があります。
昔は、葬儀などのお参りの場では、遺族の金銭的負担を減らすために、弔問客が直接お線香を持ち寄る形が基本でした。これが時代の流れとともに変化し、現在では間接的にお金を包む形が主流になりました。
香典(こうでん)との違い
一般的に、お悔みの場で持参するお金というと、お線香代より香典の方が耳にする機会が多く混同してしまいがちですが、意味合い・お渡し時期の2点において異なります。
- お線香代…時期を問わず、故人様に対してお供えするもの
- 香典…葬儀や法要などの儀式の際に、故人様とご遺族の両方にあてたもの(葬儀費用などの援助の意味も含む)
上記の通り、お線香代が純粋にお線香を供える代わりとしての代金であるのに対し、香典にはご遺族に対しての費用援助の意味合いも含まれます。
そのため、香典は、基本的に通夜や葬儀、一周忌法要などの儀式に参列する際にのみお渡しするお金です。
一方のお線香代は、ご遺族側が香典を辞退された場合の香典の代わりや、後から訃報を知って後日改めて弔問する際の持参金としてなど、お渡し時期を問わずお渡しすることが可能です。
※香典を辞退された際のお線香代について、詳しくは<こちら>の項目もご参照ください。
■葬儀の際に持参する「お花代」って?
葬儀の際に持参するお金として、香典やお線香代の他にも「お花代」と呼ばれるものが存在します。お花代は、葬儀に参列する際に贈る「供花(きょうか)」の代わりに包むお金のことを指します。
お線香代と同様、遺族の費用負担をまかなうためではなく、純粋にお花の代わりとしての意味のみを持ちます。
お線香代の相場は?関係性・シーン別にご紹介
皆様からお寄せいただくご質問として多いのが、具体的な費用相場です。ここでは、故人様との関係性やお渡しするシーンに合わせて、お線香代の一般的な相場を簡単にご紹介いたします。
地域性やご家族のお考えにもよっても大きく異なるため、絶対的な相場というものはございませんが、ご準備の際の参考になさってください。
他家へお渡しする場合の費用相場
お線香代の相場に限らず、お悔みの際に用意するお金は、故人様との関係性や渡す側の年齢によって異なります。
一般的に、故人様とのお付き合いが深く、渡す側の年齢が高くなるほど相場も高額になります。
お悔みの場でお渡しする場合、親族以外(友人や友人の親、知人など)に対するお線香代の相場は5,000円程度、親族の場合は1~3万円程度とされています。
あまり高額すぎると先方にお返しの気遣いをさせてしまう可能性がありますので、家族内でよく話し合って最終的な額を決めるといいでしょう。
夫婦連名で渡す場合は、2名分の金額を包みましょう。
寺院や納骨堂にお渡しする場合の費用相場
お線香代は、一般的には他家へのお悔みの気持ちを表すものとしてお渡ししますが、中には寺院や納骨堂に対してもお渡しするケースがあります。
主にはお墓を管理しているのがお寺や納骨堂の場合で、お墓参りの際に管理者(ご住職など)に対してお渡しします。
その際の費用相場は1,000~1,500円程度とされています。なお、檀家料を払っている場合は不要のこともありますので、ご不安な場合は管理先に確認してみると安心です。
■金額を検討する際の注意点
一般的に、お悔みの場において以下のような数字は好まれませんので避け、「1、3、5」のいずれかの数字が付く額を用意するようにするのがマナーとされています。
- 4・9…「死」や「苦」を連想させる縁起が悪い数字(忌み数)のため
- 偶数…割り切れる数は、故人様との繋がりが途切れる不吉なイメージを連想させるため
※近年は、2万円などの偶数でも問題ないという考えもありますが、中には快く思わない方もいらっしゃりますので注意が必要です。
封筒の選び方・お金の包み方・表書きの仕方を画像で解説
費用相場と同様によく疑問に上がるのが、お線香代の準備の仕方です。
ここからは、柄や水引の種類といった封筒の具体的な選び方やお金の包み方、宗教別(仏教・神道・キリスト教)の表書きの書き方など、お線香代を用意するにあたって必要な基礎知識を詳しく解説いたします。
正しい封筒の選び方は?水引は付けるべき?
お線香代を包んでお渡しするための封筒は、「不祝儀袋(ぶしゅうぎぶくろ)」と呼ばれます。
※「のし袋」と混同されがちですが、本来「のし」は慶事(お祝いごと)で使用される場合の呼称となり、弔事(お悔みごと)の際は「不祝儀袋」となります。
【柄】
白無地の不祝儀袋を選ぶことで、宗教を問わず使用することができます。
※蓮の絵が入った袋は仏教用、ユリの花や十字架の絵が入った袋はキリスト教用となりますのでご注意ください。
【水引】
黒白の結び切りの水引がついたタイプが基本です。ただし、包む金額が高額になる場合は双銀の水引を選びましょう。
また、関西地方などの一部地域によっては、四十九日法要以降は黄白の水引を使用する場合もあります。
【封筒のタイプ】
不祝儀袋は、水引が印刷されたもの・水引が実際についているものの2種類があります。更に、封筒1枚のもの・中袋(お金を入れる封筒)が別に付いた二重タイプのものに分かれます。
基本的には、以下のように入れる金額を目安に検討するといいでしょう。
- 封入額が5,000円以下…水引が印字された簡易タイプ
- 1万円以上…白黒の水引が付いた中袋付きのもの
- 3万円以上…双銀の水引が付いた中袋付きのもの
お金の入れ方・包み方とは?お金の準備の仕方を解説
お札を入れる向きに絶対的な決まりはありませんが、中袋を裏から開けた時を基準に考えて、肖像画が書かれた面が表、肖像画が下がに来るように入れる形が多く見られます。
また、お札を複数枚入れる際には、全ての向きを揃えて入れるように注意しましょう。
訃報を予期して事前に用意していたと捉えられないよう、四十九日法要よりも前にお渡しす場合は、新札ではなく使い古しのお札を用いるのがマナーです。
それ以降であれば新札を使用しても差し支えはありませんが、気になる場合は新札に折り目をつけるなどの形で対応してもいいでしょう。
お金の包み方
中袋付きの不祝儀袋を使用する際は、中袋にお金を入れた後、外包みで二重に包み直す必要があります。
※封筒タイプの場合は、直接お金を封入する形で問題ありません。
折りたたみ順には決まりがあり、左右を折りたたんだ後に下部を下から上に折り上げ、最後に上部が上に来るように被せる形が基本です。
※上下を間違ってしまうと慶事用になってしまうため、くれぐれもご注意ください。
封筒の書き方を宗教別にご紹介
お線香代をお渡しする際には、封筒に費用名や入れた金額などの必要事項を記入する必要があります。
筆、または筆ペンを使って書く形が基本ですので、ボールペンなどでは記入しないよう注意しましょう。なお、墨色については、四十九日前ならば薄墨、それ以降は濃い墨を使用します。
それでは、以下に具体的な表書きと中袋の書き方をご紹介します。
表書きの仕方
不祝儀袋の表(中袋付きの場合は外包みの表)には、何のためのお金なのか分かるように費用名称を記入します(これを表書きと呼びます)。
宗教によって書く言葉は異なりますが、いずれも中央の上部に記入する形が基本です。
【仏教】
「御線香代(おせんこうだい)」「御香料(ごこうりょう)」
※ただし、四十九日前(通夜・告別式・初七日など)は「御霊前」(浄土真宗は最初から「御仏前」)となります。
【神道】
「御玉串料(おたまぐしりょう)」「御榊料(おんさかきりょう)」「御神饌料(ごしんせんりょう)」「御神前(ごしんぜん)」
【キリスト教
「御花料(おはなりょう)」
※カトリックの場合は「御ミサ料」とも書く場合があります。
名前の書き方
不祝儀袋には、誰から貰ったか分かるよう、表書きの真下に渡す側の姓名を記入します。
基本的にはフルネームで記載しますが、夫婦連名や会社として出す場合などの場合には書き方が異なりますので、以下をご参照ください。
中袋の書き方(金額・連絡先)
封入した金額や住所氏名などの連絡先は、不祝儀袋の中袋(表裏)に記入する形が基本です。
金額は中袋表面に縦書きで記入、連絡先は中袋裏面の左下に記入しましょう。
なお、中袋がない場合は封筒の裏側を使い、右上に金額、左下に連絡先を記入します。
金額は、旧字体の漢数字を使用し、頭に「金」・末尾に「圓(えん)」とつけて書くのがマナーです。
【例:1万円の場合…金壱萬圓】
お線香代は郵送してもいい?気になる渡し方マナー4選
最後に、正式な渡し方やお線香代を郵送する場合など、お線香代を渡すにあたってのマナーを4つピックアップしてご紹介いたします。事前に基本的なマナーを把握しておき、失礼のないようにお渡ししましょう。
失礼なく渡すには、どんな渡し方が望ましい?
お線香代をお渡しする際には、不祝儀袋は直接持ち運びせず、必ず「袱紗」(ふくさ)と呼ばれる布に包んで持って行くのが基本マナーです。
実際にお渡しする際は、式の受付がある場合はそちらにお渡しし、ない場合には喪主(ご遺族)に直接お渡しします。その際は、お渡しする方の前で袱紗から不祝儀袋を取り出し、相手から文字が読める向きにして渡しましょう。
また、先方のご自宅に訪問した際にお渡しする場合には、基本的にはご遺族への手渡しではなくお仏壇または祭壇に直接お供えするようにします。
袱紗(ふくさ)
袱紗は、慶事・弔事どちらの場でも使用するため、様々な色があります。
弔事で用いる場合には、紫や紺色などの寒色系の落ち着いた色味のふくさを選ぶ形が基本ですが、中にはどちらでも使用できるタイプもあり便利です。
形状にも種類があり、ポケットタイプのものもあれば、風呂敷のような正方形の布タイプのもの、台(板)付きになっており上に袋を載せたまま渡せるタイプなど様々です。ご自身の使いやすい形式のものをお選びいただくといいでしょう。
ポケットタイプ
使いやすいポケットタイプで、包むことなく出し入れできます。
台付タイプ
ふくさと漆盆を一つに組み合わせた「台付ふくさ」です。台は慶祝用と弔意用に使い分けられるように色が異なっております。
直接渡すのが難しい場合、郵送してもいい?
お悔み先が遠方にある、仕事などの都合がつかないなどの理由で直接のお渡しが難しい場合もあるかと思います。
結論、お線香代は郵送しても失礼にはあたりません。
その際は現金を送ることになりますので、必ず「現金書留」を利用して郵送するように注意しましょう。
郵送する際も、不祝儀袋にお金を入れる、表書きなどの必要事項を記入するなどの基本マナーは変わりません。
また、郵送の場合にはお悔やみの言葉を添えた手紙も添えると丁寧です。
文章を検討する際には、「重ね重ね」や「苦しむ」など、不幸が重なることやマイナスイメージを連想させるような忌み言葉は入れないように気を付けましょう。
香典を辞退された場合でも、お線香代なら渡しても平気?
近年増加傾向にある家族葬(身内や親族のみで行う葬儀)では、葬儀の前後を含めて香典を受け取らないとする「香典辞退」の形式で執り行うケースが多く見られます。
結論、お線香代は香典とは意味合いが異なりますので、香典辞退の式に参列する場合でも基本的にはお渡しして問題ないとされていますが、実際に渡すべきかどうかは慎重に検討する必要があります。
理由としては、先方の考えによってはお線香代も含めてお金の受け取りを辞退している場合も有りうるためです。
心配な場合は、参列前に事前確認を取っておくか、後日改めてお菓子やお供え物などをお贈りするとよいでしょう。
お線香代のお礼をいただいた場合、お返しは必要?
中には、お返し不要のつもりでお線香代をお渡ししても、先方からの心遣いでお礼の品を頂いてしまう場合もあります。
結論、お返しのお礼のお礼…という形で繰り返しになってしまうため、お線香代のお礼に対する更なるお礼は基本的には不要です。
もしお礼の気持ちを伝えたい場合は、品物ではなく先方にお電話などで連絡を入れる形で直接お伝えするといいでしょう。
お線香代に関するご相談のほか、ご供養についてご不明点やお悩みがございましたら、お近くのはせがわ店舗、またはオンラインでお気軽にご相談ください。
ご供養のプロフェッショナルであるはせがわスタッフがお答えさせていただきます。