お供えのお花ってなに?
お花は仏様への代表的なお供え物の1つとして、仏壇やお墓へお参りする際には欠かせないものとされていますが、それはなぜなのでしょうか?以下では、お花をお供えする意味と「仏花」の違いについて解説します。
なぜお花をお供えするの?
お花は仏様の慈愛と忍耐を表し、花立・火立・香炉の3つで「仏の三大供養」とも呼ばれる重要なご供養品の1つです。仏壇やお墓にお花をお供えする意味は主に2つあります。
1つ目は、「仏の慈悲」をいただくことです。お花は、綺麗な状態でもいつか枯れてしまうことから「諸行無常」(世の中の全ての事象は移り変わりを繰り返し、永久に変わらないものはない)という仏様の教えを表すといわれてきました。そして、お花がその身をもって「諸行無常」を示す様を「仏の慈悲」と捉え、仏様からこの慈悲の心をわけていただくためにお供えをするという考え方です。
2つ目は、故人様やご先祖様へ感謝の気持ちを表すことです。すべてのお花には花言葉が存在します。感謝や敬いといった仏様へ込めた想いを花言葉にのせてお花をお供えすることで、私たちの気持ちを仏様に伝えることができます。
仏様は香りをご飯として召し上がるとされ、お線香と同様にお花の香りも楽しんでいただけるようにお花をお供えするという考え方もあります。
「仏花」「墓花」「供花」の違い
「仏花」といっても、お供えする場面によって呼び方が異なることがあります。以下では、「仏花」「墓花」「供花」をそれぞれ解説します。
仏花(ぶっか・ぶつばな)
お仏壇やお墓にお供えするお花すべてを
「仏花」といいます。
仏花は、故人様やご先祖様への哀悼の意を表し、仏教の教えに基づいてお供えします。四十九日やお盆、ご命日などの特別な供養を行う日には、普段より花数を増やした花束やアレンジメントフラワーをお飾りすることが一般的です。
墓花(はかばな・ぼか)
お墓参りでお供えするお花のことを「墓花」といいます。
一般的なお墓には、お花をお供えするための場所や花立が用意されており、そこに墓花を収めます。またお墓の花立はお仏壇のものより大きいため、お仏壇にお供えする仏花より大きなお花を選び、量を多く用意されることが多いです。
供花(きょうか・くげ)
お通夜や告別式、葬儀で贈られるお花のことを
「供花」といいます。
供花は「お別れの花」とされ、故人様との最後のお別れの際に棺の中に入れられます。故人様やご遺族へ哀悼の意を表すため、お花は白色を基本として、花束やアレンジメントの形で華やかに飾られることが一般的です。
タブーはある?お花選びの決まりとは
仏花には適したお花、適さないとされるお花があります。お花選びにはどういった点に注意すべきなのでしょうか。以下では、仏花の選び方について解説します。
仏花のお供えにタブーはある?
伝統の中でタブーとされてきたお花や飾り方はいくつかありますが、昨今ではマナー違反と考えられることは少なくなり、ほとんどのお花はご家庭や故人様の雰囲気に合わせ、自由にお供えしても問題ないとされています。
一方で、仏教の教えや伝統を重んじる方に、タブーとされるお花を供えることを反対される場合や、宗派や地域によって種類の決まりがあることもあります。気になる方は家族や親戚の方、贈られる場合はご遺族へ問題がないか確認されるとよいでしょう。
仏花に適したお花
仏花の代表的なお花としてユリ、菊、胡蝶蘭があります。これらは古くから日本で親しまれているお花で、縁起のよいものとして仏花に相応しいものとされています。
仏花は長く日持ちするお花がよいとされており、
かすみ草やカーネーション、トルコキキョウは花もちが良くおすすめのお花です。また、春はマーガレットやスターチス、といったように季節に合わせた四季折々のお花をお飾りするのもよいでしょう。
そのほか、故人様・ご先祖様がお好きだったお花を選びお供えすることも、よいご供養となります。綺麗な状態で長くお飾りできるよう、新鮮なお花をお供えしてさしあげましょう。
■お花の色について
四十九日以降の普段のお供えには、基本的な白、黄、赤のほか、ピンク、紫、青といった色も選ばれています。色数は3~5色を使うことが多いようです。
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お通夜から四十九日まで
白を中心とする「白上がり」にする
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ご命日、一周忌、三回忌
白を中心に淡く落ち着いた色を入れる
※年数が経つにつれて、色に関係なくお飾りされることもあります。
◆はせがわ 仏花の定期便
はせがわでは、お忙しい方やお花選びでお困りの方におすすめの「はせがわ 仏花の定期便」を提供しております。
お花のプロがコーディネートした新鮮な生花を定期的にお届けします。(週1回、隔週、月1回コースからお選びいただけます。)
仏花の定期便 各コース
仏花に適さないとされるお花
良くない意味が連想されるお花
彼岸花・椿・むくげは良くない意味を連想されるとしてお供えには避けるべきとされています。
彼岸花は根に毒があることや、花の赤色が「血」のようであるとして「死」を連想させ、縁起が悪いお花と伝えられています。そして椿も彼岸花と同様、開花後にお花ごと落ちる様子が首が落ちるようであるとして「死」を連想させるお花とされています。
また、むくげは一日で枯れてしまうお花として「一日花」とも呼ばれ、その様子が「無常」を連想されるとして避けられています。
毒を持つお花
毒のあるお花をお供えすることは、ご先祖様へ毒を捧げることになるため避けるべきとされています。
スミレ科の植物(アジサイ、スイセン、スズランなど)には毒性があるため、お花選びには注意が必要です。また、チューリップは球根に毒性があるとのことで避ける場合もあります。
食べ物のお花
野菜、果物、穀物など、人が口にすることのある食べ物のお花は縁起が悪いと考えられることがあります。基本的にはお供えすることを避ける場合が多いです。
香りの強いお花
カサブランカ、オミナエシ、金木犀など香りの強いお花を飾ると、お線香の香りと混ざるとしてお供えには避けられてきました。
最近では、仏花に使われることも少なくありませんが、お参り中に香りが気になってしまう可能性や、香りに敏感な方が不快に思うことも考えられます。お供えを検討している場合は、同居している方へ相談されることをおすすめします。
棘のあるお花
バラやアザミなどの茎に棘があるお花は「殺生」や「怪我」を連想させるため、仏花に適さないとされてきました。
しかし、昨今では必ず避けるべきとはされておらず、故人様がお好きだったお花としてお供えされることもあります。お供えの際、茎に触れて怪我をする可能性があるため、事前に棘を切りとっておくと安心です。
造花はダメ?生花以外のお花飾り
ご家庭によってはペットと生活していたり、定期的に管理できないという理由で生花を飾ることが難しいこともあります。その場合、生花ではないお花を飾ってもよいのでしょうか?以下では、造花などのお供え物について解説します。
生花でなくてもよい?
基本的には、生花でないお花の飾りを仏壇やお墓にお供えされても問題ありません。
お花は、綺麗な状態でもいつか枯れてしまうことから「諸行無常」という仏様の教えを表すといわれ、生花であることが大切だと伝えられてきました。しかし昨今では、生花をお供えすべきだという絶対的な決まりがないとされています。
何よりも大切なのはご先祖様を想う感謝の心です。生花を用意することが難しい場合は、以下で紹介するお花飾りなどをお供えしてさしあげましょう。
どんなものがある?
主に生花の代わりに選ばれているのは、人工のお花である「造花」と本物のお花を加工した「プリザーブドフラワー」の2つです。
造花
造花とは、ポリエステルやポリエチレン、ウレタンなどで作られる、お花を模した飾りのことです。
生花と異なり枯れることがなく、お花の形や色の鮮やかさを保つことができます。お花が傷みやすい夏の間など、管理が難しい時期には造花のお供えがおすすめです。
お花の大きさや種類も様々なものがありますので、お持ちの花立や花瓶に合わせて選びましょう。
プリザーブドフラワー
プリザーブドフラワーとは、生花に特殊な保存加工を施したお花飾りのことです。
「プリザーブド」は英語で「保存された」という意味をもち、プリザード、ブリザーブドなどと読み間違えられることも多いです。
水やりの必要がなく長期間お供えでき、香りや花粉がでないため取り扱いやすいですが、日光や湿度に弱くデリケートなものでもあります。直射日光や高温多湿な環境を避けてお飾りしましょう。
造花とプリザーブドフラワーは花屋やホームセンターのほか、はせがわなどの専門店でも購入することができます。
また、はせがわオンラインショップでは、お仏壇やお墓参りのお供えにぴったりなフラワーブーケや、贈り物におすすめなコンパクトタイプのお花飾りも取り扱っております。
フラワーギフト
仏花の飾り方とポイント
花立や花瓶に仏花をお飾りする際にはいくつかのポイントがあります。以下では、仏壇とお墓への仏花の飾り方について解説します。
お飾りの基本について
お花の本数
古来よりお花の数は奇数がよいと伝えられてきましたが、現代では必ずという決まりはないとされています。
奇数は半分に割れず、バランスの良い数であるといわれています。伝統的なお飾りを意識される場合は、お花を3、5、7本というように用意されるとよいでしょう。一対で2つ花立がある場合は左右対称になるよう、それぞれの花立へ奇数のお花をお供えします。
お花を花立に収める際は中央に高さのあるお花を挿し、両端のお花を低くして山の形になるよう整えることで、全体がバランスよく見えます。
また、上にあるお花は薄い色、下は濃い色となるように飾りつけるとより美しく見えるお飾りとなります。
お花の向き
お花の向きは仏様やご先祖様の方ではなく、お参りする私たちに向けるのが一般的です。
これは、お花が「仏の慈悲」を意味し、仏様からお花を向けられることで私たちの苦を取り除き、楽をいただくためとされています。
■お花が長持ちする生け方とポイント
生花・水につかる葉、余分な蕾を取り除く
・茎を水につけながら斜めに切る
・水を毎日入れ替えて清潔にする
フラワーアレンジメント
・お花や葉っぱに直接水をかけない
・お花を挿している中心のスポンジに毎日水やりする
仏花をお仏壇へ飾る場合
伝統的なお仏壇には、左右で一対になるよう花立が2つあることが多いです。この場合は、左右の花立に同じ種類の仏花を飾ります。
花立が1つの場合は、お花を飾るところが2つに比べて少ないため、いくつか種類を組み合わせて華やかにするのもおすすめです。
また花立の位置は、数が2つであれば左右の両端、1つであれば一番左に置きます。
■お仏具の飾り方について詳しくはこちら
墓花をお墓へ飾る場合
お墓には、左右で一対の花立が置いてあることが一般的です。
墓花をお供えする時は、花束を2つ分同じお花でまとめたものを用意して、左右の花立に飾ります。
■お墓参りについて詳しくはこちら
仏花に関してよくある質問
最後に、仏花についてよくお寄せいただく質問をご紹介いたします。
Q1.贈り物にする仏花の相場は?
A.仏花の場合は一対で1千円~3千円程度、供花の場合は一基で7千円~2万円程度とされることが多いです。
また故人様との関係性で金額を考える場合、遺族や親族は1万5千円から、故人様と縁のある会社は8千円から、故人様の友人や知人は3千円から、とされることが多いです。
お供えやお悔みのお花を贈る際は、場合によってお断りされることもあるため、事前にご遺族に確認しましょう。また、宗派の教えや地域の習慣によって指定のお花があるかについても確認しておくと、間違いが起きないため安心です。
Q2.お墓参りに行けない時、仏花はどうする?
A.「お墓参り代行サービス」を代行業者へ依頼する方法があります。
身体的な理由やお墓が遠方にあるなど、お墓参りが難しい場合におすすめの方法です。墓花交換のみのプランや、お花のお供えと合わせてお墓の清掃も行うプランなど、利用したい内容で選ぶことができます。
はせがわでは、お仏壇や神棚に関する内容をはじめ、ご供養全般のご相談を承っております。ぜひお気軽にお近くの店舗までお越しください。
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