お墓の文字彫刻とは
墓石には必ず文字を刻むのが一般的です。
昔の単独墓の場合は、戒名や俗名が刻まれることが多かったのですが、現在は合祀墓が多いため、墓碑には家名が刻まれる形が一般的になりました。
墓石にはどんな文字を彫ることも可能です。また、どのような書体で彫ってもよいとされています。
書体の種類
一般的なのは楷書体、行書体、草書体、隷書体ですが、ご自身で書かれた文字を使用することも可能です。
ただし文字の刻み方には決まりがありますので、お墓をお求めになるときによくご相談されることをおすすめします。
文字彫刻の文例
一般的な文例
〇〇之墓、〇〇家之墓、〇〇家先祖代々之墓、〇〇家供養塔、戒名霊位、先祖代々之墓、〇〇家霊位
宗派別の文例
真宗 | 南無阿弥陀仏(佛) |
天台宗 | 南無阿弥陀仏(佛) |
真言宗 | 南無大師遍照金剛 |
浄土宗 | 南無阿弥陀仏(佛) |
禅宗 | 南無釈迦牟尼仏(佛) |
日蓮宗 | 南無妙法蓮華経 |
神道 | 〇〇家奥津(都)城 |
お墓のイラスト彫刻の種類
お墓には、文字だけでなくイラストも彫刻することができます。故人様の生前のご趣味や、ご家族のお気持ちに合わせて彫刻内容を決められる形が一般的です。
線彫り、サンドブラスト
石に線状の絵を描くように彫刻する線彫りは、昔ながらの高級感のある手法で、シンプルな図柄に向きます。サンドブラストは、切り絵のようにカットしたゴム板の上から鋼の砂を高圧で吹きつける技法で、より複雑な表現が可能です。
篆刻(てんこく)彫り
中国福建省の職人さんが編み出した手加工彫刻手法です。黒御影石等の色の濃い石の表面に、先がダイヤモンドになったペンで少しずつ傷をつけて磨きの部分を落とし、その「明=光」と「暗=影」で図案や人物の写真を表現する方法です。
立体彫刻
古くからある伝統的な彫刻手法です。完全に立体化した「丸彫り」と、半分くらい立体化した「浮彫り(レリーフ)」があります。墓石には「丸彫り」と「浮彫り」を区別したサンドブラスト機を使って何回も加工する「機械立体彫刻」がおすすめです。
凸立体彫り(浮彫り)
中国では古くから文字や人物の彫刻に「陰刻(彫り込み)」と「陽刻(浮き出し)」の手法を用いていました。さまざまな深さの凹凸を平面から彫り出して、立体感を表現します。
象嵌(ぞうがん)
古くから朝鮮半島で盛んだった螺鈿(らでん)や象嵌の技を、石材加工に取り入れた手法です。デザインに合った石の選定、接着剤の強度等も必要となります。
クロマリンアート
紫外線に強い顔料を陶磁器に焼きつけた陶板写真です。表面はコインでこすっても傷つかない特殊加工を施しているため、半永久的な保存が可能です。スナップ写真から肖像写真を作成でき、背景の合成、白黒からカラーへの変換にも対応しています。
お墓の文字彫刻に関するよくあるご質問
- 墓誌…戒名を彫刻する板状の石のこと。墓誌以外にもお墓本体の側面や正面下部に戒名を彫刻することがある。
- 戒名…亡くなった後の仏様の世界でのお名前。本来の意味は、仏門に入った証であり、戒律を守るしるしとして与えられる名前のこと。
- 寿陵(じゅりょう)…生前にお墓を建立すること。長寿を願うめでたいお墓と言われる。
Q1.息子が早く亡くなったのは、新しく建てたお墓に息子の名前も彫らなかったからと言われます。そうなのでしょうか?
将来のためにお墓を建て、夫婦連名で建てた人の名前を彫ってもらいました。その後、突然息子が亡くなり息子が先に墓に入ることになりました。周りから息子が早く亡くなったのは、息子の名前も墓に彫らなかったからだと言われます。そんなことはあるのでしょうか?
A.建てたお墓の、建立者がご夫婦名だったことは一般的なことです。仏教は仏様、ご先祖様を敬い、感謝の中正しく生きる道を説くものです。そのため、「たたり」や「呪い」などの概念はありません。
将来のためにお墓を生前建墓(寿陵)されたこと、建立者がご夫婦名だったことは一般的なことです。
仏教は仏様、ご先祖様を敬い、感謝の中正しく生きる道を説くものです。そのため、「たたり」や「呪い」などの概念は全くありません。ご子息の供養に勤しんでください。
Q2.生前戒名をいただいていたので、墓石には名前の彫刻が朱色です。いつ朱色ではなくなるのでしょうか?
母は生前に戒名を頂き、墓石に彫ってあります。確か朱文字であったと思います。四十九日をむかえるにあたり、朱を抜かなくてはいけないと聞きました。いつ頃までに済ませればいいのでしょうか?
A.亡くなられた後、四十九日の前までに色を抜くことが一般的です。
生前に戒名をいただいた場合は、亡くなられた方と区別するため文字に朱色を入れます。亡くなられた後、四十九日の前までに色を抜くことが一般的です。
Q3.墓誌に戒名を刻銘する費用はどのくらいでしょうか?
墓誌に戒名を刻銘する費用はどのくらいでしょうか?
A.一般的な料金例としては1戒名3万円~5万円程度です。
一般的な料金例としては1戒名3万円~5万円程度です。納骨を同時に請け負うかどうかにも関わってきますし、彫刻技法・遠征出張距離・現場難易度(台から外して彫刻など)によっても異なります。また石塔の建立を請け負った石材店かどうかで価格が違う例もあります。
Q4.お墓を連名で建てるとよくないと言われたのですが、本当なのでしょうか?
お墓の建立者を連名で彫刻しています。連名は縁起が悪い、順番に亡くなる、嫁にいけない、事故が起きると知合いに言われました。また、名前を削るのもよくないとも言われてしまいました。本当なのでしょうか?
A.仏教の考え方では連名がよくない、順番にお亡くなりになる、嫁に行けなくなる、建立者の名を削るとよくない、などはありません。
仏教の考え方では連名がよくない、順番にお亡くなりになる、嫁に行けなくなる、建立者の名を削るとよくない、などはありません。墓相や風水などでは耳にすることがあります。
Q5.両親ともキリスト教信者ですが、墓石に生年・永眠月日を刻む場合、キリスト教の場合は形式があるのでしょうか?
両親ともキリスト教信者ですが、墓石に生年・永眠月日を刻む場合、キリスト教の場合は形式があるのでしょうか?
A.「1950.1.1~2016.12.31」というように西暦で刻まれることが一般的です。
「1950.1.1~2016.12.31」というように西暦で刻まれることが一般的です。クリスチャンネームの習慣をもつ教会の方が名前を彫刻する場合は、クリスチャンネームも合わせて刻みます。お付き合いのある教会にご相談ください。
Q6.お墓に彫る故人の情報には順序があるのでしょうか?
亡くなった父が生前、黄綬褒章を受章し、そのことを墓誌に刻んでほしいという遺言を残しました。この場合、没年、戒名、勲章受章はどういう順序で刻めばいいのでしょうか?
A.文字の彫刻順の決まりはありません。地域によっても全く彫る位置、彫る順序が違います。
文字の彫刻順の決まりはありません。地域によっても全く彫る位置、彫る順序が違います。関東での一例としては、戒名・没年・俗名・年齢とし、最後に勲章受章を刻むことが多いようです。
Q7.墓誌に法名を追加したいのですが、古いお墓なので、追加する場所がありません。どうしたらいいのでしょうか?
墓誌に法名を追加したいのですが、古いお墓なので、追加する場所がありません。下の方があいているのですが、上下2段になってもいいのでしょうか?
A.二段になって悪いという決まりはありませんが二段に刻めるほど下が空いている墓誌は珍しいかと思いますので、一度石材店に相談されるとよろしいかと思います。
二段になって悪いという決まりはありませんが二段に刻めるほど下が空いている墓誌は珍しいかと思いますので、法名がおさまるスペースかどうかを一度石材店に相談されるとよろしいかと思います。
また、裏面に彫刻されることもあります。墓所の規則に抵触しなければ新たにもう一つ墓誌を建てる場合もあります。墓誌を大きなものに新調する方もあります。
Q8.五十回忌を過ぎた人の名前はお墓に入れるべきでしょうか?
お墓を建替えするのですが、五十回忌過ぎた人の名前を墓石に入れるか、入れないか、どうしたらいいのでしょうか?
A.決まりはありません。近々の仏様が多くて刻まない方、歴代のご先祖様を重んじ、墓誌にたくさん刻まれる方など、さまざまです。
決まりはありません。近々の仏様が多くて刻まない方、歴代のご先祖様を重んじ、墓誌にたくさん刻まれる方など、さまざまです。
また一行目に○○家先祖代々(累代)などと刻みまとめているお墓もよく目にします。
厳密な決めごとはありませんので、ご家族やお付き合いのあるお寺とご相談されるとよろしいのではないでしょうか。
Q9.建立年月日よりも早くお墓ができあがりそうですが、行ってもいいのでしょうか?
お墓を建てています。予定では3月頃に完成となっていたので、墓石の建立年月日を三月吉日としました。しかし、霊園から3月より早く完成すると連絡をもらい、建立年月日に彫られている月より前に行ってもいいものなのでしょうか?それから、先負に行ってもいいことなのでしょうか?
A.遅くなるわけではないのですから、施主様がご納得されれば問題はありません。
遅くなるわけではないのですから、施主様がご納得されれば問題はありません。
先負ですが、六曜は昔の中国にて生まれたものが日本に伝わり今の形と言われていますし、仏の世界に勝つ、負けるの勝負ことはないのです。六曜にはこだわらない方が多い傾向があります。
Q10.10年前に墓誌を新調しました。その後、江戸時代のご先祖様の戒名が見つかったので、追記したいと考えています。
10年前に墓誌を新調しました。その後、江戸時代のご先祖様の戒名が見つかったので、追記したいと考えています。この場合、墓誌は削りなおしか、新調するか迷っています。またこの場合は魂抜きをお願いすることになりますか?
A.戒名の彫刻と合わせて、魂抜きにつきましてもご住職に相談されるのがよろしいでしょう。
墓誌の場合は追加彫刻なら魂抜きはしない場合が大半です。逆に新調するとお寺様に拝んでいただくことが多いようです。戒名の彫刻と合わせて、魂抜きにつきましてもご住職に相談されるのがよろしいのではないでしょうか。
Q11.お墓に母だけ戒名のみの彫刻なのですが、なぜでしょうか?
夫の母は昔に亡くなっています。お墓には亡くなった祖父母などは戒名と生前の名前が彫られているのに、母の分だけ戒名しか彫られていません。何か理由があるのでしょうか?夫も理由が分からないとくびを傾げています。
A.明確な理由はわかりません。今からでも彫ってさしあげるとよいご供養になるかと思います。
ご家族がわからないのであれば明確に理由はわかりません。石材店への依頼の仕方が悪かったか、生前戒名をお寺から頂き先に刻んでおいたもので、亡くなってからの石材店への依頼を忘れてしまった、などは考えられます。今からでも彫ってさしあげるとよいご供養になるかと思います。
Q12.墓誌の字入れの時期はいつがいいのでしょうか?
母が亡くなり初七日も終わりました。墓誌の字入れの時期ですがいつがいいのでしょうか?
A.時期に決まりはありませんが、墓前法要を行うのでしたらなるべく早めにお入れした方がいいでしょう。
墓誌の文字彫りの時期ですが、特に決まった日はありません。墓前法要までに間に合わず、再度ご住職を呼んで行う場合があります。墓前法要を行うのでしたらなるべく早めにお入れした方がいいでしょう。字入れには時間がかかることがありますので、早めに石材店に相談してください。