お仏壇を二つ置くのはよくないこと?
各家庭の事情で、お仏壇を二つ(複数)置く必要が生じるケースは珍しくありませんが、お仏壇を一家に二つ置くことはよくないことなのでしょうか。ここではそのような気になる疑問についてお答えします。
家にお仏壇を二つ置いてもいい?
一つの家(一世帯)にお仏壇を二つ置くことについて絶対的な決まりはなく、基本的には問題ないとされています。
しかし、お寺や地域によっては、お仏壇が二つある状態はご先祖様が安らげないため望ましくないと考えたり、禁止したりしている場合もあります。その場合はお仏壇を一つ残して、もう一方は処分(ご供養)することとなります。
普段お世話になっているお寺がある場合は、一度ご相談いただくとよいでしょう。
家に置くお仏壇が二つになるケース
一家にお仏壇が二つ(複数)置かれる理由はさまざまですが、下記のような背景が一例として挙げられます。
- 結婚により両家のお仏壇を引き継ぐケース
- 夫と妻で異なる宗派のお仏壇をお祀りするケース
- 親との同居によりお仏壇を引き取るケース
- 跡継ぎのいない親戚からお仏壇を引き継ぐケース
- 施設に入居している家族のお仏壇を引き取るケース など
将来的に複数のお仏壇をお祀りする可能性が高い場合は、事前に家族間でそれぞれのお仏壇をどうしていくか話し合いをしておくことをおすすめします。
二つあるお仏壇の対処法と注意点
お仏壇が複数ある場合、一つを残し、他のお仏壇を処分(ご供養)するケースが一般的です。
しかし、各ご家庭の事情により一つの家に二つ(複数)のお仏壇をお祀りするケースもあります。
絶対的な決まりはないため、ご家族や菩提寺の住職とよく相談されることをおすすめします。ここでは二つの対処法について注意点を含め詳しく解説します。
対処法① お仏壇を一つにする
お仏壇が複数ある場合、一つを残して他のお仏壇を処分するケースが多くみられます。
例えば、結婚を機に両家のお仏壇を引き継ぐ場合は、旦那様方のお仏壇を継承することが一般的です。
お仏壇を一つにする際は、下記に注意しましょう。
宗派が異なる場合、慎重な検討が必要
二つ(複数)のお仏壇の宗派が異なる場合、どちらかの宗派に統一する必要があります。それぞれ菩提寺がある場合は片方とのお付き合いをやめることとなるため、慎重な判断が必要になります。当人同士だけでなく、親戚との相談が必要になる場合もあります。
他宗派のお仏壇と一つにまとめることを望ましくないと考えるお寺・宗派もあるため、それぞれのお寺にお仏壇を一つにして差し支えないか事前に確認しておくとよいでしょう。場合によっては、無理に一つにせず、それぞれのお仏壇をお祀りすることになる場合もあります。
閉眼供養(魂抜き)が必要な場合がある
お仏壇と合わせて、ご本尊、お位牌なども一緒に処分する場合、閉眼供養(へいがんくよう)が必要です。
閉眼供養とは、魂が宿ったお仏具・お仏壇から霊魂を抜き取って供養し、手を合わせる対象から「普通の物」に戻す儀式です。「魂(たましい)抜き」「お性根(しょうね)抜き」とも呼ばれます。
事前に、菩提寺の住職に閉眼供養の読経の依頼をしましょう。
お寺のお考えにもよりますが、一般的には魂が宿るのはご本尊やお位牌・掛軸などの「手を合わせる対象となるお仏具」で、お仏壇本体には宿らないとされています。そのため、お仏壇のみ処分される場合は閉眼供養(魂抜き)の読経は必ずしも必要ではありません。
※お仏壇に開眼供養(魂入れ)をしている場合は閉眼供養が必要です。
閉眼供養の費用(お布施)は10,000円~30,000円程度が相場といわれていますが、相場はお寺によって異なります。また、果物などのお供え物が必要な場合もあります。事前に住職に確認されると安心です。
対処法② 複数のお仏壇をお祀りする
お仏壇を二つともお祀りし続けることも一つの方法です。
お仏壇を複数置かれる場合は、下記の点に気を付けるとよいでしょう。
可能であれば別々の部屋に置く
宗派の異なるお仏壇を複数お祀りする場合は、それぞれのご先祖様が安らかにお休みになれるよう、お仏壇を別の部屋に置くことが望ましいとされています。また、法要の際、住職に気を遣わせてしまうことを避けるためでもあります。厳格なお考えを持つお寺の場合は関係悪化にも繋がりかねませんので、配慮が必要です。
同じ部屋に置く場合は配置に注意
二つ(複数)のお仏壇を同じ部屋に置く場合は、お仏壇同士が向かい合わせにならないようにします。
向かい合わせの場合、片方のお仏壇にお参りしているときにもう一方に背中を向けることになり、失礼であると考えられています。仏間や床の間に並べて置くことがおすすめです。
■お仏壇の配置について詳しくはこちら
お仏壇を置く向きや適した置き場所、避けるべき場所など仏壇配置の基本を解説します。また、お仏壇の扉の開閉マナーや、地震対策についても触れています。
お供え物や法要はそれぞれのお仏壇に必要
お線香やお花など日々のお供え物やお参りはそれぞれのお仏壇に必要です。また、宗派が異なるお仏壇を複数お祀りする場合は、法要もそれぞれに必要となります。費用や手間を考慮しておきましょう。
お仏壇・お仏具の処分(ご供養)方法
お仏壇・お仏具は、菩提寺に依頼して処分(お焚き上げなど)をしていただくか、仏壇・仏具店や不用品回収業者に引き取りを依頼して処分する方法が一般的です。
お仏壇・お仏具に開眼供養(魂入れ)の読経がされている場合は、閉眼供養(魂抜き)が必要となりますので注意が必要です。
まずは菩提寺に相談を
普段お世話になっているお寺(菩提寺)がある場合は、一度ご相談されることをおすすめします。お仏壇の処分方法や、残ったお位牌をどうしたらいいかなど、気になる仏事の疑問に関して全般的に相談に乗っていただけます。
近年は、お寺でお仏壇処分(お焚き上げなど)をするケースは、環境や防災への配慮により少なくなっています。お寺で対応が不可能な場合は、仏壇・仏具店や不用品回収業者によるお引き取りを検討されるとよいでしょう。
■お焚き上げについて詳しくはこちら
お焚き上げの意味、依頼先と費用、対象品、タイミング、お焚き上げの代替法を詳しく解説しています。
はせがわのお仏壇・お仏具お引き取りサービス
はせがわでは、不要になったお仏壇・お仏具の有料お引き取りサービスを提供しています。住職による読経後、環境に配慮した方法で処分しています。
詳しくはお近くの店舗までお問い合わせください。
※不要となったお仏壇・お仏具の店舗へのお持ち込みはお控えください。
※お仏像・掛軸・お位牌など魂が宿るとされるものは、事前に住職の読経による閉眼供養(魂抜き)が必要です。閉眼供養が済んでいないお品はお預かりいたしかねますのでご注意ください。
■お仏壇の処分について詳しくはこちら
お仏壇処分の4つの方法や費用相場、3つの注意点について具体的に解説します。
■お位牌の処分について詳しくはこちら
どのような場合にお位牌の処分をおこなうのか、処分のタイミングや閉眼供養について解説しています。
よくある質問
お仏壇を二つ置くことに関する5つの質問に回答します。
Q1. 一つのお仏壇に宗派の異なるお位牌を並べてもいいですか。
二つあったお仏壇の片方を処分し、一つの仏壇のみ置くことにしましたが、お位牌はそれぞれ残しています。その場合、一緒に飾ってもいいのでしょうか。
A. 異なる宗派のお位牌を一つのお仏壇に並べることについて決まりはなく、問題ないとされています。
ご夫婦両家のお位牌を飾るなど、異なる宗派のお位牌を一つのお仏壇にお祀りするケースは珍しくありません。仏教では、お釈迦様の教えにより皆等しく成仏することを目的としていますので、宗派の異なるご先祖様同士で争うことはないと考えられています。
宗派の異なるお位牌を一つのお仏壇にお祀りすることについて、ご家族で納得されている場合は特に問題はありませんが、気になることがある場合は菩提寺に相談されるとよいでしょう。
■お位牌の置き方について詳しくはこちら
お仏壇への置き方やお仏壇がない場合の飾り方など、お位牌の正しい置き方を徹底解説します。
Q2. 一つの家を二世帯住宅として使用していますが、お仏壇をそれぞれの世帯で持つことは問題ないでしょうか。
A. 二世帯住宅の場合、一つの家にお仏壇が二つあっても特に問題はないといわれています。
将来片方のお仏壇を引き継ぐ予定の場合は、お仏壇を一つにまとめるか二つともお祀りするか事前に検討されるとよいでしょう。
Q3. 一階と二階にそれぞれお仏壇を置いても大丈夫ですか。
A. お仏壇を置く階数に決まりはなく、一階と二階それぞれにお仏壇をお祀りして問題はありません。
神棚の場合は、なるべく真上に物や通路など何もないようにすべきとの考えがあります。もしお仏壇に対してもどうしても気になるという場合には、上にはなにもないということを表現した「空」「雲」「天」などの文字を書いた紙を天井に貼るとよいといわれています。
Q4. 嫁ぎ先のお仏壇より立派なお仏壇を持ち込んではいけないというのは本当ですか。
A. 決まりではありませんが、慣習として避けるべきとされている場合があります。
地域や年齢層にもよりますが、嫁いだ家のご先祖様を敬うため、嫁ぎ先のお仏壇より大きいお仏壇を持ち込むのは避けるべきと考える方もいらっしゃいます。そのような場合は、コンパクトなお仏壇や厨子を使用されることをおすすめします。
※厨子…仏像・経典・位牌など、大切なものを納める箱のことです。お仏像やお位牌のみをそのままお飾りしている方におすすめです。
コンパクト・ミニ仏壇、厨子
Q5. 既にお仏壇を持っていますが、ペット用のお仏壇を別に設けてもよいのでしょうか。
A. 問題ありません。ペット用のお仏壇は、人間のお仏壇とは別に設けることをおすすめします。
仏教では、人間と動物はそれぞれ住む世界が異なると考えられており、人間のお仏壇でペットの供養をしないのが一般的です。そのため、ペット専用のお仏壇を準備してご供養されるとよいでしょう。人間のお仏壇とは異なるため、お仏壇が複数になること自体は問題ありません。
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