神棚に飾る正月飾りとは?
お正月には、玄関や床の間をはじめ、神棚にも「正月飾り」と呼ばれるお飾りを施します。日頃お祀りしている神様や歳神様(お正月にやってくる神様)と一緒に新年を迎えるために、年内に神棚のお掃除と正月飾りを済ませておきましょう。
この項目では、神棚自体が持つ役割と、お正月飾りをする意味の2点を簡潔に解説します。
そもそも神棚とは?
神棚とは家の中の小さな「神社」ともいわれ、家庭内で神道の神様をお祀りするための場、家内安全や商売繁盛を祈願する場のことです。「神宮大麻(じんぐうたいま)」と呼ばれる伊勢神宮のお札が全国に頒布された江戸時代頃に、お札を納める場所として神棚が生まれたと伝えられています。
神棚にはお札や神鏡を祀り、お米やお酒などをお供えして日々生かされていることへの感謝を伝えます。
正月飾りとは?どうして飾るの?
正月飾りは、新年に「福」をもたらし、家族をお守りくださる「歳神様・年神様(としがみさま)」をお迎えし、おもてなしするための飾りです。
正月飾りには門松、しめ縄、鏡餅、しめ飾りなど様々な種類があり、玄関先や床の間、神棚などにお飾りします。年末に家を掃除して正月飾りを飾ることで、その家が清浄な場所であることを示し、お正月に神様が訪れる目印としての役割を果たします。
※お正月飾りの種類・意味について、詳しくは<こちら>の項目をご参照ください。
正月飾りはいつからいつまで飾る?喪中の場合はどうする?
地域によっても異なりますが、お正月飾りは飾る期間が決められています。ずっと飾っておいたり、逆にすぐに外してしまったりといった行為は歳神様に対して失礼にあたりますので、基本的には避けるようにしましょう。以下に、正月飾りのタイミングを解説いたします。
正月飾りはいつ飾る?避けるべき日はある?
門松や鏡餅、しめ縄、しめ飾りなどの正月飾りは、「正月事始め・すす払い」の日とされる12月13日以降であれば、いつ飾っても良いとされています。近年では、クリスマスが終わる12月25日以降にお飾りする傾向にあります。
飾り付けの時間帯や六曜(大安や仏滅)は気にせず問題ございませんが、「二重苦」を連想させる29日や、「一夜飾り」と呼ばれ神様に失礼とされる31日は縁起がよくないため、できれば避けるべきとされています。
総合して考えると、正月飾りは12月13日から28日までの間に余裕を持って飾り付けるのが理想ですが、もし直前になってしまう場合は、30日に飾るのが望ましいでしょう。
正月事始め・すす払い…お正月に家にやってくる歳神様を迎えるため、家の中を綺麗にする大掃除の日です。昨今の多くの家庭では、年末の大掃除として大晦日近くに行われていますが、一般的には12月13日が正式な日とされます。
正月飾りはいつ外す?
神棚に取り付けたしめ縄は、12月13日(正月事始め)以降のタイミングで交換した後は、そのまま外さずに1年間そのまま飾るのが一般的です。
一方で、それ以外の正月飾りについては、正月飾りの種類によって片付けるタイミングが異なりますので、以下にご紹介します。
鏡餅を下げるタイミング
鏡餅は、「鏡開き」の日まで飾るのが基本です。鏡開きは、関東では1月11日、関西では1月15日~20日と地域によって異なります。
鏡開きの日には、お供えしていた鏡餅を下ろし、木槌で小さく割ってお雑煮などにしていただき、無病息災を祈る風習があります。
門松・しめ飾りを外すタイミング
門松やしめ飾りは、「松の内(まつのうち)」と呼ばれる期間までお飾りするのが基本です。松の内とは、年末から年明けにかけての歳神様が滞在する期間のことで、地域によって異なり、関東は1月7日まで、関西は1月15日の「小正月」までとする場合が一般的です。
そのほか、1月20日の「二十日正月(はつかしょうがつ」まで飾る地域もあるため、気になる場合は、事前に神職や地域に詳しい方に確認しておくと安心です。
喪中(もちゅう)でも正月飾りをしていいの?
結論、喪中の場合には、しめ縄や鏡餅などの正月飾りは避けるべきとされています。
喪中は、遺族が故人様を偲び、悲しみを乗り越えて普段の生活に戻るための期間で、喪中の間はお祝い事や神社参拝、正月飾りなどを控える習わしがあります。
また、神道では「穢れ(けがれ)」が神力を損なうとされるため、特に死の穢れが強い忌中(きちゅう)の期間中(神式は50日間・仏式は49日間)は、自宅の神棚を封じる「神棚封じ」も行います。
ただし神棚のしめ縄については、忌明け後であれば新しいものへの交換が可能です。
もし年末と忌中のタイミングが重なってしまう場合は、事前に購入して準備しておき、忌明け後に交換しましょう。
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喪中の意味や期間中の注意点、喪中はがきを出すタイミングや送る範囲、書き方など、喪中に関する基礎知識を解説します。
神棚の正月飾りとお供え物の種類・飾り方
お正月に飾る正月飾りには様々な種類があり、それぞれに意味が込められています。
ここでは、神棚の正月飾り・お供え物の種類と、具体的な飾り方をご紹介いたします。また、玄関先などに飾る通常の正月飾りや、正月飾りの購入場所をについても触れています。
神棚の正月飾り
お正月には、神棚に「しめ縄」や「鏡餅」などの正月飾りを行い、歳神様をお迎えする風習があります。以下に、それぞれの意味と飾り方を解説いたします。
しめ縄
しめ縄(注連縄)とは、縄に「紙垂(しで)」と呼ばれる白い紙飾りを付けた、神祭具のことです。神域である「常世(とこよ)」と、私たちの住む世界である「現世(うつしよ)」を分ける印として、また神様が宿るご神体をお守りする役割として神棚に取り付けます。
しめ縄は年末の大掃除のタイミングで新しいものと交換し、そのまま1年間飾るのが一般的です。
しめ縄の飾り方
しめ縄は、基本的に神棚の前(屋根の前や幕板の表側)に取り付ける形が一般的です。
神棚に用いるしめ縄は、縄が左方向にねじられたタイプの「左綯い(ひだりない)」が基本とされ、先の太い方(綯い始め)を神棚に向かって右側にすることが多いですが、地域によって異なる場合もあります。
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鏡餅
餅は古来より、特別な日に神様へお供えする食べ物とされ、鏡餅は穀物神である歳神様をお迎えするための正月飾りの定番とされてきました。餅の形が神様の宿る鏡(銅鏡)と似ていることから「鏡餅」と呼ばれるようになったとされます。
丸い餅を重ねていることには諸説ありますが、「福や徳、年齢が重なるように」という願いを込めているためとも伝えられています。
鏡餅の飾り方
鏡餅は、一般的には大小の2段で飾りますが、3段で用意する地域もあります。また、餅に重ねる形で、黒豆や串柿、するめ、伊勢海老などの縁起物を飾る場合もあります。
小さいサイズの鏡餅は神棚またはお仏壇にお飾りし、大きいサイズの鏡餅は玄関または床の間にお飾りする形が一般的です。
神棚に鏡餅をお供えする場合は、お米のかわりとして供えます。神棚に供えているお供え物より手前側の中央あたりに、「三宝(さんぽう)」と呼ばれるお供えの台を使用し、半紙または奉書紙を敷いた上に載せてお供えしましょう。
宗派によって異なる場合もありますが、お仏壇にも「打敷(うちしき)」と呼ばれる正月飾りを飾ります。打敷は、お仏壇を飾るための荘厳具で、お正月や法要、彼岸、お盆など特別な行事で使用されます。
打敷には2種類があり、宗派ごとの宗紋入りタイプでは、浄土真宗は逆三角形、その他の宗派は四角形が一般的です。また、宗派共通のタイプでは、鳳凰や蓮などの絵柄があり、季節に応じて使い分けます。
神棚のお供え物
神棚には、日頃から榊・酒・水・米・塩のお供えを行いますが、お正月には特別なお供えも行います。以下に、神棚のお供え物の並べ方と、代表的なお供え物をピックアップしてご紹介します。
お供え物の並べ方
神棚のお供え物の並べ方は、前後2列で並べる場合と横1列に並べる場合の2パターンがあり、神棚のサイズや形によっても並べ方を変える場合があります。
お供えは重要度の高い順番に置いていきます。お米はお供え物の中で最も重要なものとして、一番最初に神様と近い中心へお供えし、続いてお酒、お塩、お水の順にお供えしていきます。榊のタイミングに決まりはないため、最初か最後にお供えするとよいでしょう。
■神棚のお供え物について詳しくはこちら
榊(さかき)
榊は「神の木」という意味を持ち、神様の力を宿すとされている植物です。
日本古来より神域に飾られ、緑の葉が茂ることから尽きることのない神様の恩恵を表すとされており、神棚に榊をお供えするのも、その恩恵に感謝するためとも考えられています。
榊の飾り方
神棚に榊をお供えする際は、榊立(さかきたて)と呼ばれる器(花瓶)に入れ、左右一対でのお飾りが一般的です。取り替えタイミングは毎月1日と15日が基本ですが、水は毎日交換して清潔を保ちましょう。夏場などお手入れが難しい場合は、造花やプリザーブドフラワーの榊もおすすめです。
お正月には、通常の榊でも問題はありませんが、松竹梅や南天が入ったお正月用の榊をお供えするとより縁起が良いとされています。
■神棚の榊について詳しくはこちら
御神酒(おみき)
御神酒とは、神様に捧げる日本酒で、神棚にお供えするお酒や神社などでいただくお酒のことです。
正月の初詣など、神社で行われる神事の際にもお供えとして用いられ、神事が終わった後に参拝者へ配られます。神社でいただいた御神酒は神様にお供えが済んだものされ、基本的に家の神棚にはお供えせず、神様の力が加わりご利益があるとして、いただいた後に飲むことが一般的です。
御神酒の飾り方
神棚に御神酒をお供えする際は、1日と15日にお供えするほか、お正月やお祝い事などでもお供えします。
神棚にお供えする場合は、「平次(へいじ)」や「徳利」と呼ばれる神具に入れ、神棚の手前・中央の奥側に左右一対で配置します。ふたの付いた徳利のような形をしておりますので、特別なタイミングでのお供えの際は、ふたを取ってお供えしましょう。
旬の野菜や果物
お正月は特別な日にあたるため、日々の基本的なお供え物や、お正月飾りである鏡餅とあわせて、旬の野菜や果物、尾頭付きの魚、お酒なども神棚にお供えします。
季節の食べ物についても、鏡餅と同様に「三宝」と呼ばれるお供え台に載せてお供えすると丁寧です。
■お供え物は下げた後に食べてもいい?
神棚にお供えする米・塩・水・酒は、下げた後に召し上がっていただいても問題ありません。お供え物をいただくことは、神様からのお恵みを分けていただく良い行いとされています。
基本的に米・塩・水は毎日新しいものに交換しますが、もし交換が遅れた場合や傷んでいる場合はいただかず、白い紙に包むなどの形で処分するようにしましょう。
玄関先などに飾る正月飾り
その他、玄関先などにお飾りする一般的な正月飾りとしては、「しめ飾り」や「門松」、「干支の置物」、「破魔矢」など様々な種類があります。以下に代表的なものをご紹介します。
しめ飾り
しめ飾りは、お正月に年神様をお迎えするために、玄関ドアの上部などの高い位置に飾る縁起物です。
清浄な場所であることを示し、この世と神域を分ける役割を果たします。しめ縄を中心に、橙(だいだい)や裏白(うらじろ)、ゆずり葉、紙垂(神域の象徴)などの飾りが付いており、それぞれに無病息災や家族繁栄などの意味が込められています。
門松
門松は、歳神様にお越しいただくための目印としての役割があり、家の門や玄関の脇に左右一対で飾る形が一般的です。
松と竹を組み合わせた正月飾りで、松は生命力、竹は繁栄を象徴し、新年の家族の平和と繁栄を祈ります。
干支の置物
干支の置物は、その年の干支を象った縁起物で、福を招き、無病息災や厄除けを祈願する意味があります。
玄関やリビングに飾ることで運気を高め、その年を良い方向に導くとされています。
破魔矢
破魔矢は、「魔を破る矢」という意味があり、邪気を払い、家内安全や無病息災を願う縁起物です。
お正月に神社で授与され、神棚や床の間、リビングなどの高い場所に飾る形が一般的です。
正月飾りはどこで購入できる?
正月飾りは、神棚や仏壇仏具の専門店のほか、スーパーやホームセンター、オンラインショップなどでも購入可能です。
また、近年では100円ショップで材料を購入して手作りする方も増えているようです。
はせがわオンラインショップでも、神棚のしめ縄やお正月飾りの取り扱いがございます。
商品のご購入だけでなく、神棚や供養全般に関するご相談も承っておりますので、ぜひお気軽にお近くの店舗、またはオンラインショップまでお越しください。
正月飾りの処分方法は?使い回してもいいの?
正月飾りは、毎年古いものを処分して新しいものに交換する形が一般的です。ここでは、古くなった正月飾りの捨て方(処分方法)をご紹介いたします。
また、正月飾りを毎年使いまわしてもいいのかについても解説します。
正月飾りは、「どんど焼き」でお焚き上げする方法が一般的
正月飾りの処分は、毎年1月15日ごろ(小正月)に神社で行われる、「どんど焼き」に持ち込んでお焚き上げいただく方法が一般的です。
このどんど焼きでは、正月飾りのほか、お札や神棚、お守りなどのお焚き上げが行われます。
多くの場合は無料で行われていますが、品物によっては費用が発生する場合もあります。
神社によって受付方法や費用、お焚き上げの範囲は異なりますので、事前に確認してから持ち込みましょう。
■お焚き上げについて詳しくはこちら
お焚き上げをする意味や実施タイミングをはじめ、依頼先や費用、対象品など、お焚き上げの基本を解説します。
処分し忘れてしまったらどうする?自分でも処分できるの?
どんど焼きに出し忘れてしまったり、近隣に持ち込み可能な神社がないなどの理由で、正月飾りの処分ができなかった場合には、自治体のルールに従って、ご自身で処分いただいても問題はありません。
その際は、正月飾りに塩を振ってお清めしてから処分すると良いでしょう。
正月飾りは使い回してもいいの?
よく、「正月飾りは毎年同じものを使い回しても問題ないの?」といった疑問をお持ちの方がいらっしゃいます。
結論としては、正月飾りは歳神様をお招きするためのお飾りであり、正月飾りを使い回すことは歳神様に失礼にあたるため、避けるべきとされています。
また、毎年新しいものに換えることで、自分自身の気持ちもリセットして前向きになることができるとも言われています。
ご家庭の考えによっても異なる場合もありますが、基本的には、正月飾りは毎年古いものを処分し、新しいものを飾るようにすると良いでしょう。
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