重要なお知らせ

繰り出し位牌(回出位牌)とは?使い方や文字入れ方法、費用を解説

繰り出し位牌ページのアイキャッチ

繰り出し位牌(回出位牌)とは、複数あるお位牌をひとつにまとめてご供養するための仏具です。お仏壇内部がすっきりし、より多くのご先祖様をお祀りすることができます。
このページでは、繰り出し位牌の基本情報と用意のタイミング、文字入れ方法、費用の相場、購入時の注意点など、詳しく解説します。

繰り出し位牌(回出位牌)とは?

繰り出し位牌がお仏壇に祀られている写真

先祖代々引き継いできたお仏壇など、長年お参りしているとお位牌が増え、置ききれなくなってしまうことがあります。そのような場合に「繰り出し位牌」を用いることで多くのご先祖様をすっきりしたスペースでご供養することができます。ここでは、繰り出し位牌とはどのようなものか、使用方法や宗派の違いなど詳しく解説します。

「繰り出し位牌」はどんなもの?

繰り出し位牌

()()し位牌(繰出位牌・回出位牌)」とは、故人様の戒名(法名)などを記した木札(札板)を内部に5~10枚程度納めることができる厚みのあるお位牌です。()り位牌」などと呼ばれることもあります。

通常、お仏壇に祀っているお位牌が増えてスペースが狭くなってしまった場合に、複数人のお位牌を一つにまとめるために使用されます。そのため、最初から繰り出し位牌を選ぶケースはほとんどありませんが、地域によっては新しい仏様に繰り出し位牌を使用する場合もあります。

■お位牌全般について詳しくはこちら

お位牌とは?特徴やご注文の流れ

お位牌の種類・価格の違いといった基礎知識と、ご注文の流れ・方法について詳しく解説しています。

過去帳との違い

繰り出し位牌も過去帳も、複数の故人様・ご先祖様の戒名(法名)を書き記すために使用されますが、大きな違いは「魂入れ(開眼供養)」をするかどうかです。

繰り出し位牌には魂入れをし、手を合わせて拝む対象としてお仏壇へお祀りしますが、過去帳には魂入れを行わないケースが多いです。過去帳は、ご先祖様の記録・家系図(系譜)としての意味合いが強いことが特徴です。

また、過去帳は繰り出し位牌に比べてより多くのご先祖様の情報を残すことが可能です。繰り出し位牌がいっぱいになった場合などは、過去帳に戒名(法名)などの情報を記録しておくことがおすすめです。

■過去帳について詳しくはこちら

過去帳とは?基本の使い方・飾り方

過去帳とお位牌の違い、過去帳の種類、準備などから処分についてまで説明しています。

繰り出し位牌の使用方法

1. 中に入っている札板に故人様の戒名(法名)などを書き記す

ふたを開けた繰り出し位牌

繰り出し位牌の中に入っている白木(もしくは唐木)の札板に、故人様の戒名(法名)、没年月日、俗名(生前の名前)、没年齢などを通常のお位牌と同様に記します。先頭に入れる札板(漆塗りまたは唐木の札板)のみ「○○家先祖代々之霊位」と記します。

文字入れについて詳しくは、「繰り出し位牌の文字入れ方法と費用」で詳しく解説しています。

2. 繰り出し位牌(札板)に「魂入れ(開眼供養)」をする

読経する住職

繰り出し位牌をお仏壇にお祀りする前に、住職による「魂入れ(開眼供養)」が必要です。

詳しくは「繰り出し位牌の魂入れ(開眼供養)」で解説しています。

3. お仏壇にお祀りし、適宜札板の順番を入れ替える

扉を開けた繰り出し位牌

普段は「○○家先祖代々之霊位」と書いた札板を先頭にして、中の札板は命日の順に並べます。法要時や故人様の月命日・祥月命日には対象の方の戒名(法名)が書かれた札板を先頭にして手を合わせましょう。
法要・命日を終えたら札板を後ろに回し、次に命日が控えている故人様が前方に来るようにします。

■祥月命日について詳しくはこちら

祥月命日とは?命日との違いを解説

祥月命日の意味や命日・月命日との違い、祥月命日にすること、お供え物、やってはいけないことなどを解説しています。

繰り出し位牌の宗派による違い

  • 浄土真宗
    浄土真宗では基本的にお位牌は用いません。亡くなられた方はすぐに極楽浄土へ往生すると考えられているため、故人様の成仏を祈って追善供養をする必要がないためです。故人様の法名は過去帳や法名軸という小型の掛軸に書き記します。ただし、お寺のお考えなどによっては繰り出し位牌をお祀りする場合もあります。

  • その他宗派
    浄土真宗を除く主要な宗派(天台宗、真言宗、浄土宗、曹洞宗、臨済宗、日蓮宗など)では繰り出し位牌を用います。ただし、新しい仏様にはまず札位牌(通常のお位牌)を作成し、後から繰り出し位牌にまとめるという形式が一般的です。

繰り出し位牌はお仏壇のどこに置く?

繰り出し位牌の置き場所

繰り出し位牌は、ご本尊の1つ下の段(お仏壇の2段目)に飾ります。札位牌(通常のお位牌)をお祀りする場所と同じです。基本的には、上座である右側にお祀りします。(地域・お寺によっては左側を上座とすることもあります。)

■お位牌の置き方について詳しくはこちら

お位牌の正しい置き方とは?

過去帳とお位牌の違い、過去帳の種類、準備などから処分についてまで説明しています。

繰り出し位牌の用意のタイミング

複数のお位牌が祀られているお仏壇

繰り出し位牌を用意するタイミングに決まりはありませんが、適切なタイミングや購入時のポイントを確認しておきましょう。ここでは、一般的に繰り出し位牌を用意する時期と注意点について解説します。

繰り出し位牌にまとめるのはいつ?

複数のお位牌を繰り出し位牌にまとめるタイミングは特に定められていませんが、主に下記の2つのタイミングで実施されるケースが多いです。

  1. お仏壇がお位牌でいっぱいになった時
    お位牌の数が増えてお仏壇の内部が狭くなってきたら、繰り出し位牌にまとめることを検討するとよいでしょう。

  2. ご供養が一区切りした時
    三十三回忌や五十回忌などの「弔い上げ」を機にまとめられるケースが多くみられます。ただ、近年はお仏壇の小型化により、弔い上げを待たずに繰り出し位牌を用意することもあります。

◆弔い上げとは

故人様のご供養のために行う最後の年忌法要です。三十三回忌(亡くなられてから満32年目)または五十回忌(亡くなられてから満49年目)を弔い上げとすることが一般的です。弔い上げの後は「個人」としての法要を終了し、「ご先祖様」としてお祀りしていきます。

繰り出し位牌購入時のポイント

  • 菩提寺に相談しておく
    菩提寺がある方は、繰り出し位牌を準備する意向やタイミングについて、事前に住職に相談しておきましょう。適切なタイミングや開眼供養・閉眼供養についてご助言いただくことができます。

  • 繰り出し位牌を置くスペースの寸法を確認する
    繰り出し位牌は、お位牌を置くスペースの幅・高さ・奥行に合わせてサイズを選びます。位牌の正面に観音開きの扉が付いているものは、開扉時の位牌の幅も確認しておきましょう。また、繰り出し位牌はご本尊(お仏壇最上段中央のお仏像または掛軸)より背が高くないものを選ぶと無難です。
    繰り出し位牌の寸尺表記は、中の札板のサイズ(高さ)を表しています。お位牌の総丈ではないので注意しましょう。

札板の文字入れ方法と費用

筆で文字を書く人

繰り出し位牌も通常のお位牌と同様、本体代と別に文字入れ(名入れ)費用が発生します。ここでは、文字入れの依頼先とそれぞれの費用相場、文字入れの内容とレイアウト例を紹介します。

文字入れ(名入れ)は誰に依頼すればいい?

札板への文字入れ(名入れ)は、菩提寺の住職、または、仏壇・仏具店に依頼できます。また、墨などを使用してご自分で書き入れることも可能です。
ただし、漆塗りの札板(繰り出し位牌の先頭に入れる札板)や唐木の札板の場合は、一般的に金色で文字を入れるため、繰り出し位牌を購入した仏壇・仏具店へ依頼されることをおすすめします。

文字入れ依頼時の注意点

  • 文字入れをお寺や仏壇・仏具店に依頼する場合は、今お祀りしているお位牌も一緒に持ち込む(もしくはお位牌両面の写真を撮っておく)とスムーズです。

  • 仏壇・仏具店での文字入れは1週間~2週間程度時間がかかることが多いため、法要のスケジュールが決まっている場合は余裕を持って依頼しましょう。

文字入れ(名入れ)の費用相場

  • お寺に依頼する場合
    お寺に文字入れを依頼する場合はお布施をお包みします。金額の相場は3,000円~10,000円程度ですが、お寺とのお付き合いや何人分の記載を依頼されるかによりますので、事前に住職へ金額をお聞きしておくとよいでしょう。

  • 仏壇・仏具店に依頼する場合
    仏壇・仏具店へ文字入れを依頼するの場合、ご戒名1名様あたり3,000円~10,000円程度が費用の相場です。はせがわでは、一名様分5,500円(税込)で承っております。(戒名・没年月日・俗名・没年齢含む)

繰り出し位牌に記載する内容・レイアウト

札板のレイアウト例

先頭の札板(前板)の表面には「○○家先祖代々之霊位」と記載します。(お寺や宗派によって書き方が異なる場合もあります。)裏面には文字は入れません。
他の札板(中板)には一般的に、故人様の戒名(法名)、没年月日、俗名(生前の名前)、亡くなられた年齢を記載します。宗派によっては戒名の上に梵字を入れる場合もあります。(真言宗のア号、浄土宗のキリークなど)

漆塗りの板と白木板が繰り出し位牌に入っている場合は、漆塗りの板を先頭の札板(前板)として使用します。全て同じ材質の札板の場合は、どの札板でも構いません。

繰り出し位牌の札板のレイアウトに決まりはありませんが、元のお位牌と同じレイアウトで書かれるケースが多いです。地域やお寺によっても異なる場合がありますので、菩提寺がある方は事前に確認されると安心です。

最も多いのは没年月日を表に書くケースですが、没年月日を裏に書き、戒名(法名)をすっきりと見えやすくするレイアウトもあります。また、戒名(法名)がなくても繰り出し位牌を作成することは可能です。その場合は、「(姓名)之霊位」と記載することが一般的です。

■お位牌の書き方について詳しくはこちら

【図説】宗派別・位牌の書き方

宗派別の位牌の書き方や位牌の文字加工にかかる値段と依頼先、依頼の際に気を付けるべきポイントを解説しています。

繰り出し位牌の種類と相場

伝統型仏壇の写真

繰り出し位牌は製造方法・素材・大きさなどにより価格の相場が異なります。ここではそれぞれの特徴と相場をおすすめ商品と合わせてご紹介します。

繰り出し位牌の3つの種類と価格相場

繰り出し位牌には大きく分けて3つの種類(デザイン)があります。それぞれの特徴と価格の相場について解説します。

漆塗りの繰り出し位牌

最もよく使用されているのは、昔ながらの漆塗りの繰り出し位牌です。お位牌の正面に観音開きの扉が付いており、扉を開けることで中に入っている一番先頭の札板が見えるようになっています。金と漆による重厚感が美しいお位牌です。
札板の出し入れは、屋根を外して行います。中の札板は、一枚のみ漆塗りで、他は白木札で作られていることが多いです。
値段の相場は、漆の塗りや造り・大きさにもよりますが、15,000円~50,000円程度です。

唐木の繰り出し位牌

高級な唐木材である黒檀や紫檀が使用された繰り出し位牌も人気です。デザインはシンプルなものが多く、唐木仏壇はもちろんモダン仏壇にも似合うシックな雰囲気のお位牌です。
漆塗りの繰り出し位牌と異なり、扉が付いていないため幅を取りません。お位牌の上部がフタのように取り外しできるため、そこから札板の出し入れが可能です。中の札板も全て唐木作りで表面が塗装されているため、文字入れの際は基本的に仏壇・仏具店への依頼が必要です。
値段の相場は、30,000円~70,000円程度です。

モダンデザインの繰り出し位牌

モダンデザインの繰り出し位牌

近年は、家具調仏壇にも似合う、おしゃれでコンパクトな繰り出し位牌も続々登場しています。実物のご確認など、詳しくはお近くのはせがわへお問い合わせください。
値段の相場は、30,000円~70,000円程度です。

>>最寄りのはせがわ店舗を探す

繰り出し位牌の魂入れ(開眼供養)

読経する住職

新たに繰り出し位牌を用意してお位牌をまとめる場合、繰り出し位牌への「魂入れ(開眼供養・お性根入れ)」と、元のお位牌への「魂抜き(閉眼供養・お性根抜き)」が必要です。それぞれ読経が必要な理由とお布施の相場、元のお位牌の処分方法を解説します。

魂入れ(開眼供養)と魂抜き(閉眼供養)はなぜ必要?

お位牌は亡くなられた方の霊魂が宿る依代(よりしろ)とされています。そのため、繰り出し位牌は魂入れをすることで「普通の物」から「手を合わせて拝む対象」へ変化します。また、元のお位牌から魂抜きをすることで、お位牌をご供養(処分)することが可能です。菩提寺の住職へ依頼し、読経していただきましょう。

読経のお布施相場

繰り出し位牌への魂入れ・元のお位牌への魂抜きのお布施は、1万円~10万円程度が相場です。繰り出し位牌にまとめるご先祖様の人数を考慮してお包みしましょう。

住職に直接金額をお聞きしても失礼ではありませんので、不安な場合は相談されることをおすすめします。

元のお位牌の処分について

今までお祀りしていたお位牌の魂抜きが終わったら、お寺でお焚き上げしていただくか、仏壇仏具店に引き取りの依頼をしましょう。

はせがわではお仏具の引き取りを承っております。(有料)
詳しくはお近くの店舗までお問い合わせください。
>>最寄りのはせがわ店舗を探す

■お焚き上げについて詳しくはこちら

お焚き上げとは?費用や対象品を解説

お焚き上げの意味、依頼先と費用、対象品、タイミング、お焚き上げの代替法を詳しく解説しています。

■お位牌の処分について詳しくはこちら

お位牌の処分方法と閉眼供養

お買い替えやお仏壇じまいなどによるお位牌の処分方法と魂抜き(閉眼供養)の必要性を解説しています。

よくある質問

よくある質問のイメージ画像

繰り出し位牌に関するよくある3つの質問に回答します。

Q1. 繰り出し位牌の札板を使い切り、いっぱいになった場合、その後はどうしたらいいですか。

A. 繰り出し位牌がいっぱいになってしまった場合の対処法について2つご紹介します。

  1. 先祖位牌・札板に集約する
    「○○家先祖代々之霊位」と記したお位牌や札板にご先祖様の霊魂を集約する方法です。今までお祀りしていた札板は魂抜き(閉眼供養)をして供養(処分)します。
    故人様の戒名や没年月日を記録しておきたい場合は別途、過去帳を用いるとよいでしょう。

  2. 繰り出し位牌を増やす
    繰り出し位牌をもう一つ準備する方法です。札板が20枚収納可能な繰り出し位牌もあります。
    また、札板のみ新調し、法要や命日のタイミングで繰り出し位牌の中にある札板を差し替えるのも一つの方法です。繰り出し位牌に全ての札板が納まりきらない場合は、粗末にならないよう丁寧に保管しましょう。

Q2. 夫婦位牌を祀っていますが、夫婦連名のまま繰り出し位牌にまとめることはできますか。

A. 可能です。ただし、文字が細かくなるため、札板の大きさに注意しましょう。

繰り出し位牌の札板に夫婦連名のまま文字入れすることは可能です。ただし、札板のサイズによっては文字が小さくなって見えづらいため、大きさを考慮して繰り出し位牌を選ばれることをおすすめします。

Q3. 古くなった繰り出し位牌の修理は可能ですか。

A. 繰り出し位牌の状態によっては対応できかねる場合もございます。

はせがわではお仏具の修理も承っておりますが、修理が難しいと判断した場合、お預かりしかねるケースがございます。
繰り出し位牌本体(札板を除いたもの)には魂は宿らないとされるため、現在お祀りしている札板のサイズに合った繰り出し位牌に買い替え、札板を移し替えるのも一つの方法です。

お位牌関連記事はこちら

お位牌の総合ぺージはこちらです。

お位牌とはページのサムネイル画像

お位牌とは

お位牌とは、故人様の霊魂が宿る場所であり、故人様を象徴するお仏具です。このページでは、お位牌の種類や価格の違いなど基本を解説します。はせがわにおける注文手順も詳しくご紹介しています。

この記事を読んだ方は以下の記事も読んでいます。