そもそも「新盆」とは?
「新盆(にいぼん・しんぼん)」とは、故人様が亡くなられた後に初めて迎えるお盆のことですが、より正確には四十九日の忌明け後に迎える初めてのお盆のことを指します。地域によって呼び方は異なり、「初盆(はつぼん)」などと呼ぶ場合もあります。もし四十九日前にお盆(7月15日もしくは8月15日)が訪れる場合は何もせず、翌年を新盆とすることがほとんどですが、お寺様やご親族の皆さまのご予定によっては、例えば四十九日法要と新盆法要を一緒に行なうようなこともあります。
新盆は故人様の霊が初めてご自宅に帰っていらっしゃるので、ご親族や知人友人の方など大勢で、特に丁寧にお迎えいただくべき行事とされており、お寺やご自宅で法要を行ない、会食をすることが多いです。
新盆のお見舞いについて
新盆は通常のお盆よりもさらに手厚く供養する習慣があり、故人様と親しかった方やご親族は新盆を迎えるご家庭に伺い、供養の気持ちを伝えます。その際に持参する香典やお線香などのお供え物を「新盆(初盆)見舞い」と言います。
新盆見舞いはいつ贈る?
地域によりますが、7月または8月の13日から16日の4日間がお盆の期間です。
法要に招かれた場合や、故人様のご家族の家にお参りに行く場合は、その時に直接お渡しします。ご都合があわず直接お会いすることがなければ、宅配便などで送っていただいても問題ありません。その場合はお盆やお盆法要の前までにお渡しができると良いので、事前に届くよう早めに手配しましょう。
新盆のお見舞いに伺う時の服装
法要に参列する場合の基本は喪服ですが、夏の暑い時期ですし「平服で」と言っていただける場合も増えてきています。だからといってカジュアルになりすぎず、黒やグレーを基調とした落ち着いた色味のスーツやワンピースを着用し、アクセサリーを付ける場合は、白またはグレーのパールのネックレスやイヤリング、ピアスをご用意ください。
法要ではなくお盆期間中ご家庭にお線香をあげに伺う場合は、喪服である必要はありません。この場合も同じくカジュアルになりすぎない、落ち着いた服装が無難です。
新盆見舞い|香典を包む場合
故人様にお供えする金品のことを「香典」といい、一般的には不祝儀袋にお金を包んでお渡しします。ここでは金額の目安やマナーなど、細かい疑問を解説します。
金額の目安はどれくらい?
【ご友人やお知り合い、会社の方の場合】
5,000円~10,000円前後が一般的ですが、生前親しかった方は多めに包む場合もあります。
【叔父・叔母、祖父母などのご親族の場合】
5,000円~10,000円前後が一般的です。
【親・兄弟の場合】
10,000~30,000円前後が一般的です。
会食に参加する場合は、上記に加えて3,000円~10,000円多く包みましょう。また、ご親族の場合は別途提灯を贈る場合もあります。ただし最近はスペースの問題などで飾らないご家庭もありますので、提灯を贈るかどうかはご親族の皆さまでご相談なさることをおすすめします。
注意!
- お札の枚数に決まりはありませんが、「4(死を連想する)」や「9(苦を連想する)」は縁起が悪いと考える方もいらっしゃいますので、4枚や9枚は避けたほうが無難です。
- 金額はあくまで目安です。ご用意される方の年齢や関係性によっても変わってきます。一緒にお伺いする方や他のご親族などがいらっしゃれば、事前にご相談してみるのも良いかと思われます。
香典袋の表書きについて
- 新盆見舞いに使用する香典袋の表書きは「御仏前」や「御佛前」が一般的です。
- 神道のご家庭にお渡しする場合は「御玉串料」を使います。
- キリスト教の儀式に呼ばれた場合は「御花料」としましょう。
- 水引は白黒や銀のものが多く、「結び切り」という結び方が一般的です。
もし香典にプラスして会食代を包むようでしたら、香典袋を2つ用意して分けても良いですし、一つの香典袋にまとめてしまっても問題ありません。まとめる場合は中袋に「香典としていくら」「お食事代としていくら」と内訳を記載しておくと良いでしょう。
墨は薄墨?
文字の色は薄墨と悩まれる方もいらっしゃいますが、一般的にお盆は四十九日を終えたご家庭が行なうものなので、黒い墨で問題ございません。
香典袋の中袋の使い方
- 香典袋には中袋という白い封筒が入っていることがほとんどですので、この中袋の表面に金額、裏面に内訳やご自身の住所とお名前を記載してお金を入れます。
- 表の金額を書くときは、「金壱萬円也」など漢数字で記入します。
- お札の向きは、お札に描かれた人物の顔が裏側を向いた状態で、かつ下になるように入れるのが一般的です。また、複数枚のお札を入れる場合は向きをきちんとそろえて入れましょう。
漢数字などは書きなれないと思いますが、恐らく香典袋を購入したら、その中に書き方の例が記載された紙なども入っているかと思いますので合わせてご参考になさってください。一部の漢数字をご紹介すると、「1=壱」「3=参」「7=七」「5,000=伍仟」「30,000=参萬」「100,000=壱拾萬」となります。
中袋がない場合は?
中袋がない香典袋もありますが、こちらもマナー違反ということはありません。この場合は香典袋に直接お金を入れて、お名前や金額なども記入していただいて問題ありません。
新札は使わない!
「不幸を予想していませんでした」という気持ちを表すために、新品のお札を使用しないことが一般的です。ただしあまりにも使い古され、破れたり汚れが付いたものもまた失礼にあたるので、お包みする前に一度お札の状態を確認しましょう。どうしても新札しか手元にない場合は、一度二つ折りにして折り目をつけると良いでしょう。
香典を渡すタイミング
法要がある場合も、ご自宅にお参りとして伺う場合も、必ず施主様にご挨拶するタイミングがあると思いますので、その時にお渡しになるとよいでしょう。
袱紗(ふくさ)
香典はそのまま持参するのではなく、袱紗(ふくさ)や風呂敷にお包みすることがマナーとなっています。中には左の写真のように、ポケット式になっていて簡単に取り出すことができ、入れた香典袋が折り曲がらない袱紗もあるのでおすすめです。
もし袱紗や風呂敷が手元にない場合はハンカチでお包みすることもできますが、この場合は派手な色や柄が入ったものは避けて、あらかじめきちんとアイロンをかけておきましょう。
新盆見舞い|お供え物を贈る場合
香典としてお金をお渡しする以外にも、お線香やお菓子などのお供え物を新盆見舞いとして贈る場合もあります。直接行けない場合は宅配便などでお送りしても問題ありません。ここではお盆のご家庭へ持っていくお供え物について、どのようなものが適しているのか、守るべきマナーはあるのかなどをご紹介します。
お供え物には何を選ぶ?
お供え物は故人様の好きなものを中心に、お菓子やお花、お線香などの消費できるものがよく選ばれています。おすすめのお供え物についてご紹介します。
お線香
法事をはじめ日々のお参りでも使用できます。香りも、伽羅(きゃら)や沈香(じんこう)などの香木を使用した趣のあるものから、桜やラベンダーなどお花の香りまで様々です。はせがわでは無料で包装・のし(掛け紙)もおこなっています。
ローソク
法事をはじめ日々のお参りでも使用できます。蜜蝋などの特別な材料のローソクは、自宅用で購入する方もあまりいらっしゃらないので喜ばれます。また、お花など絵柄の入ったものもなかなかご自身で購入する方は少ないので、お盆でのご進物としてよく選ばれます。
提灯
絵柄の入った提灯を、ご親族や故人様と親しかった方から贈ることがあります。昔ながらの伝統的なタイプもまだまだ人気ですが、最近は省スペースに飾られる方も増えてきており、小さくかわいらしいタイプの提灯も選ばれるようになってきました。
また、お好きなサイズや絵柄の提灯を飾ってくださいという意味で、「御提灯代」として現金を贈るケースもあります。
ちりめんのお供え
小さなかわいらしい贈答品として、はせがわで人気の「甘美」シリーズがあります。ほんのり香りがただようお香をちりめんで包み、お供えのお菓子を模しています。香りもよく、夏場などは傷まないお供え物としてお仏壇を華やかに見せてくれるとして、ちょっとした手土産によく選ばれています。季節限定デザインもあり、時期にあわせたお飾りをお楽しみいただけます。
お菓子
お参りにいらっしゃったお客様やご親族の方にも配れるので、焼き菓子など個包装されたものが人気です。すぐに消費できない可能性もあるので、常温で日持ちのするものを選びましょう。夏場はゼリーなども選ばれます。百貨店をはじめ、スーパーマーケットなどで購入できます。
果物
季節の品物が選ばれます。なるべく消費期限が長く、常温で保存できるものにしましょう。百貨店をはじめ、スーパーマーケットなどでも購入ができます。お供え用としてセットにして販売していることもあります。
飲み物
故人様の好きな飲み物が選ばれています。詰め合わせを用意されることが多いようです。百貨店をはじめ、スーパーマーケットなどでも購入ができます。
贈る際のマナーについて
- 贈答品はお店で包装とかけ紙を用意いただけます。表書きは「御供」や「御仏前」、「新盆(初盆)御見舞」などを使用します。
- 神道のご家庭に贈る場合も「御供」を使用していただいて問題ありません。
- キリスト教の場合は「お供え物」という概念がありません。贈り物をする場合は生花が一般的です。
- お供え物の相場は3,000円~5,000円程度といわれています。生前お世話になっていた場合などはもう少し高めでご用意する方もいらっしゃいますが、あまりに高額すぎると相手に気を使わせてしまいます。
- 水引の色は白と黒を使用することが一般的です。
- 文字の色は薄墨と悩まれる方もいらっしゃいますが、一般的にお盆は四十九日を終えたご家庭が行なうものなので、黒い墨で問題ございません。
- かけ紙のお名前は苗字だけでもいいのですが、いただいた方がどなたからのお供え物なのかより把握しやすいように、フルネームでお渡しになると良いでしょう。連名にする場合は、右側から目上の方を先に記入します。人数が多ければ「〇〇一同」としても構いません。ご夫婦であれば夫の名前をフルネームで書き、妻はその左側にお名前のみ記載します。
御仏前
(ごぶつぜん)

御供
(おそなえ)

新盆(初盆)御見舞
(にいぼんおみまい)

のし紙?かけ紙?
熨斗(のし)とはのして(伸ばして)乾燥させた「のしあわび」のことを指し、神聖・不老長寿・祝い事が続くようにと意味が込められています。現在では本物のアワビではなく、右上に飾りまたは印刷で表現をされたものになりますが、このように熨斗(のし)は祝ごとを指す為、結婚式などの慶事で使用されます。それに対し仏事やお悔みなどの弔事では「かけ紙」を使用します。
施主様側は香典やお供え物をいただいたら何を返す?
ここまで新盆を迎えるご家庭への新盆見舞いについて解説してきましたが、最後に新盆見舞いを受け取る施主様側はお返しを何にしたら良いのかについてご紹介します。
どんなものを選べばいいの?
金額も品物もご家庭によって様々ですが、お菓子やそうめんなどの食品、洗剤やタオルなどの日用品の詰め合わせ、お茶のセットなどが人気で、相場は1,500~5,000円程度が一般的です。参列者の方々へあまり気を使わせない金額のもので、持って帰る時に荷物にならないものを選びましょう。ご関係性によって金額や返礼品を変える方もいれば、一律にしてまとめてご用意される方もいらっしゃいます。
返礼品のかけ紙
- お返しの品には「志」と書かれたかけ紙を使うことが一般的です。地域によっては「粗供養」「新盆(初盆)志」などと記載することもあります。
- 水引は黒と白の結び切りが一般的ですが、一部関西などの地域によっては黄色と白が多く選ばれたりもします。
- お名前は施主様のフルネームか「〇〇家」などを入れます。
予定にない方のお参りがあることも考えられますが、お返しの品が足りないとなると失礼にあたるので、返礼品は予定人数分よりも少し多めに用意することが一般的です。この場合、実際は返礼品が余ってしまうことももちろんありますが、そのようなことを想定して「返品可能」としているお店などもあります。返品可能な期間などの指定がある場合がほとんどですので、あらかじめ確認して、余裕を持って準備しておきましょう。
はせがわではオンラインショップからのご注文へののし紙(かけ紙)も承っております。ぜひご利用ください。
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お盆はご先祖様や故人様を優しくお迎えする風習です。2022年の新作盆提灯に加え、セット品や盆棚など豊富な商品紹介のほか、お盆の期間や意味、新盆についての解説もしています。
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