お盆の意味とは?いつ何をすればいい?迎え火・送り火も徹底解説

お盆の意味とは?いつ何をすればいい?迎え火・送り火も徹底解説
お盆は古来から伝わる夏の風習ですが、お盆本来の意味や一連の流れなど、詳しいところまではご存知でない方もいらっしゃるかもしれません。ここでは、お盆の意味や由来、具体的にいつ何をするかなど、お盆に関する基本を徹底解説します。
また、例年お問い合わせいただくことが多い「迎え火・送り火」についても、マンションの場合どうするかなども含め、いつどのように行うかを詳しくご紹介いたします。

お盆とは?意味や由来、期間について

お盆提灯が並んでいるイメージ画像

お盆とは、ご先祖様をご自宅にお迎えしてご供養する行事を指します。有名な行事ですが、お盆の由来や具体的な期間まではご存知でない方も多いかもしれません。
まずは、お盆の意味や由来、お盆の期間などお盆の基本をご解説します。

お盆の由来と成り立ち

「お盆」は、仏教における「盂蘭盆会(うらぼんえ)」、または「盂蘭盆(うらぼん)」を略した言葉とされています。語源は、サンスクリット語の「ウランバーナ(=逆さに吊り下げられた苦しみ)」です。
盂蘭盆会は、その昔、お釈迦様のお弟子である目連尊者(もくれんそんじゃ)が、亡き母を救う話に由来しています。

目連尊者の母親は、子(目連尊者)を溺愛するあまり周囲の不幸に無関心だったことが原因で、餓鬼道に落ちてしまいます。
餓鬼道に落ちた母親は逆さ吊りにされ、食べるもの飲むもの全てが火となり飢えと渇きに苦しんでいました。神通力を持っていた目連尊者は、苦しむ母親を姿を目にしてお釈迦様に相談したところ、夏の修行を終えた7月15日※に僧侶たちを招き、供物をささげて供養するとよい」という教えを受けます。
これに従って供養したところ、その功徳によって母親は極楽往生を遂げたと言われています。

※「安居(あんご)」と呼ばれる、雨期の時期に僧が一か所にこもって行う修行の終了日が、旧暦の7月15日にあたる。この日を「解夏(げげ)」と呼ぶ。

なお、上記は仏教の伝来によって取り入れられた風習ですが、日本各地には古来から夏時期には祖霊を祀る習慣があったとも言われています。

こうした日本古来の風習と仏教の考えが混ざり合った結果、現在の日本におけるお盆は、家族や一族が集まり、ご先祖様や故人様を偲び、供養する行事として定着しています。

お盆はいつからある?歴史を紹介

日本にお盆が伝わったのは7世紀頃とされ、仏教形式でお盆の法要が最初に営まれたのは、斉明天皇(さいめいてんのう)の頃の657年と言われています。

しかし、当初は朝廷が営む供養として位置づけられており、実際に民間に普及し始めたのは鎌倉時代に入ってからとされています。その後、室町時代には送り火の風習が現れ、江戸時代に入ると完全に庶民に定着し、僧侶が家々を回って棚経(お経)をあげるようになりました。

■お正月にもご先祖様が帰ってくる?

実は、お正月も、お盆と同様にご先祖様が帰ってくる行事であることをご存知でしょうか?日本には元来より祖霊信仰があり、ご先祖様をお迎えする行事は、仏教が伝来する前から年2回行なわれていたようです。
お盆とお正月、どちらも亡くなった方の魂をお迎えする行事ではありますが、仏事としての意味合いが強いほうがお盆で、神事としての意味合いが強くなったほうがお正月だと言われており、元来はお正月にもお盆と同様のお飾りをする形が正式とされています。

【2022年版】お盆の具体的な期間

お盆の期間は地域によって異なり、大きく分けて「7月盆」と「8月盆」の2つがあります。2022年(令和4年)のお盆期間は、【7月13日(水)~7月16日(土)】もしくは【8月13日(土)~8月16日(火)】の各4日間です。

一般的には8月盆(8月13日~16日)の場合が多いですが、東京近郊、房総半島や北関東の一部地域では7月盆(7月13日~16日)の場合もあります。
なお、東京でも田舎の風習に合わせて8月に行ったり、その他の期間に行ったりする地域もありますので、迷ったら菩提寺または近所の方にお伺いするとよいでしょう。

■なぜ7月盆と8月盆があるの?

昔から使われていた暦が明治時代に新しくなり、それをきっかけに以前の暦に沿った時期にお盆をする地域と、新しい暦にあわせてお盆をする地域に分かれたことが、現在も7月と8月にお盆を行なう地域で分かれている理由です。
当時政府のお膝元だった東京などの地域は、新しい暦にならって7月盆に切り替えましたが、それ以外の多くの地域は、農作業が大変な時期と重なることもあって昔の暦上の8月盆を継続する形となりました。

>>お盆やお盆休みの期間について詳しくはこちら

お盆にはいつ何をして過ごす?宗派別の違いもご紹介

精霊馬(牛馬)のイメージ画像

お盆の期間は、夏休みを利用して帰省されたりご自宅で過ごされたりと、様々な過ごし方があると思います。地域によっても様々ですが、ここでは一般的なお盆の過ごし方の一例をご紹介します。
お墓が遠方だったり、新型コロナの影響で帰省を見送られたりする方もいらっしゃるかもしれませんが、できる範囲で行っていただいても全く問題ございませんので、ぜひご参考にしてください。

お盆スケジュール画像

~お盆前日まで

法要手配の準備

法要を予定している場合は、なるべく早くから日程を決めて、お寺様のご都合を確認しましょう。お盆はお寺様も大変ご多忙で、希望している日にお願いできない場合もございますので、早めにご相談することをおすすめします。

お盆飾りの事前準備と飾り付け

お盆には、盆提灯や牛馬などのお盆特有のお飾りをして故人様をおもてなしする風習があります。仏具店などでは例年6月頃からお盆用品が並び始め、お盆直前には品薄になってしまうこともあるため、余裕を持って早めに揃えておくと安心です。
一日で飾り終える必要はなく、できるところから少しずつ飾り始めても問題ありませんので、お盆の1週間前やお盆月に入ったタイミングなど、前もって準備を始めておくことをおすすめします。

>>お盆飾りの基本や詳しい飾り方についてはこちら

お仏壇とお墓の掃除

ご先祖様をお迎えする前に、お仏壇を綺麗に掃除しておきましょう。お盆時期はお墓参りのお客様もいらっしゃることがあるため、可能であればお墓も事前に掃除しておくことが望ましいですが、難しい場合にはお参り当日にお掃除をする形でも構いません。お掃除の際は、雑草や落ち葉を取り除き、墓石についた埃や砂は水をかけて洗い、その後タオル等できれいに拭き上げます。

>>お盆時期のお墓参りについて詳しくはこちら

お盆のご家庭へお参りに行く場合の準備

お盆を迎えるご家庭へお参りに行く時のお供え物も、余裕を持って準備しておきましょう。お供え物としてよく選ばれるのは、お線香などお仏壇まわりの消耗品や、お菓子や果物などの食べ物です。
宅配便で送る場合は、先方が13日からのお盆に使えるよう日程に余裕をもって送りましょう。

13日(迎え盆)

故人様へのお供え

故人様へのお供えは、「五供(ごく)」と呼ばれる「香(お線香)・花・灯明(ローソク)・浄水(水)・飲食(食べ物)」の5つが基本です。いずれも普段のお参りでもお供えするものではありますが、お盆の時期には、精進料理やそうめん、果物など、いつもより盛大に食べ物をお供えする場合が多く見られます。
お料理をお供えする場合は、私たちの食事の前にさしあげ、私たちの食事が終わったタイミングでさげましょう。できればお盆期間中は毎日の朝昼晩にお供えしたいものですが、難しい場合には14・15日の中日だけでも問題はありません。なお、地域やご家庭により習慣としてお供えをする日が決まっていることもありますのでご注意ください。

>>お盆のお供えについて詳しくはこちら

家族揃ってお墓参り

ご家族みんなでお墓参りに行きます。お墓参りの日にちに絶対的な決まりはありませんが、「迎えは早く、帰りは遅く」と言われていますので、ご先祖様のお迎えの意味も込めて13日(お盆入り)の午前中が最も望ましいとされています。

迎え火を焚く

ご自宅またはお墓で「迎え火」を焚き、ご先祖様の霊をお迎えします。

盆提灯に灯りをつける

事前に用意しておいた盆提灯に灯りをつけましょう。
お盆飾りは、ご先祖様をにぎやかにお迎えするという意味があるため、お盆の期間中はなるべく提灯の灯明を絶やさないことがよいとされています。日中は消していても、夜のご家族が起きている間は提灯の灯りをつけておくとよいでしょう。

■新盆の場合は、「白紋天」にも灯りをつけましょう

白紋天の画像

亡くなられてから四十九日後に初めて迎えるお盆を「新盆(にいぼん、しんぼん、あらぼん)または「初盆(はつぼん)」などと呼びます。

新盆のご家庭では、絵柄入りの通常の盆提灯に加え、故人様がご自宅に帰ってくる際の目印として、「白紋天(しろもんてん)」という新盆用の白提灯をお飾りするのが一般的です。通常の盆提灯とは異なり、軒先に吊り下げる形でお飾りするという特徴があります。
なお、浄土真宗では白紋天を使用しない場合が通例ですが、地域によって異なることもあります。

>>新盆について詳しくはこちら

14日・15日(中日)

故人様を偲んで会食

宗教、宗派に関係なく、親族や故人様と親しい方々を招いて会食をする場合が多く見られます。ご自宅や法要会館、御料理屋などで行なうことが一般的です。

読経・お盆法要

お盆の時期に行なう法要は「盂蘭盆会(うらぼんえ)」とも呼ばれ、お寺様に伺うかご自宅にご住職を迎えて、読経をしていただきます。お布施の明確な相場はありませんが、一般的には3~5万円程度とされています。

■寺院主催の仏教行事「施餓鬼会(せがきえ)」とは?

お盆時期には、寺院が執り行う「施餓鬼会(せがきえ)」という仏教行事もあります。一般的にお盆時期に行われることが多く、仏教における餓鬼道に落ちて苦しむ餓鬼や無縁仏の供養を目的としています。
参加の際には、お寺から届く案内状やホームページなどから申し込まれるか、直接お尋ねになるとよいでしょう。

16日(送り盆)

家族揃ってお墓参り

地域にもよりますが、お見送りの気持ちを込めてお盆最終日もお墓参りに行きます。送りの際は夕方頃の時間帯が望ましいとされますが、施設によっては遅い時間帯のお墓参りはNGとされている場合もありますので、事前にご確認ください。

送り火を焚く

ご自宅またはお墓で「送り火」を焚いて、ご先祖様の霊をお見送りします。

お盆飾りの片付け

お盆飾りなどの片付けは、迎え火が終わった後すぐ(16日中)に行なう形が多いですが、時間が遅くなってしまったなどの場合は翌日でも問題はありません。

お盆をしない宗派はあるの?仏教以外はどうする?

お盆の迎え方・過ごし方は、基本的には地域による違いが大きいのですが、浄土真宗は考え方が異なるため、お盆時期の過ごし方に違いが見られます。また、日本に古くからある神道はいわゆる「仏教」ではありませんが、実は神道でもお盆の行事を行います。

浄土真宗では、お盆にご先祖様のお迎えはしない

浄土真宗では、亡くなられた方の魂はすぐに成仏して仏様になるとされているため、一般的にはお盆にご先祖様が帰ってくるという考え方はしません。その代わり、お盆のことを「歓喜会(かんぎえ)」と呼び、法要や法話会を行なって仏様への感謝と祈りをささげるという過ごし方をします。

基本的にはお盆飾りも不要とされておりますが、日ごろの感謝を込めてお仏壇のお掃除やいつもより豪華なお供えをして差し上げるのもよいでしょう。なお、一部地域では浄土真宗の方も提灯を飾る場合があります。

神道でも仏教と同様にお盆を行う

前述した通り、日本のお盆は、日本古来からあった祖霊への信仰と仏教が混じり合ったものなので、実は神道にもお盆があります。
神道の場合はご先祖様が帰ってくるという意味に加えて、健康や長寿を祝うという意味もあります。

お盆の入りを「中元祭(盆祭り)」、送り盆の日は同じく「送り盆」と呼びます。お盆が近付いてきたら「七日盆」と呼び、お墓や神棚、祖霊舎の掃除をするなどして、時間をかけてお盆の準備をしていきます。お盆期間中は神主様より祝詞をあげていただきます。
提灯を飾ることもあるようですが、神道の場合は主に白木の提灯を使用していただくことが一般的です。

これを押さえれば安心!お盆独自の風習をピックアップ

お盆には、お盆時期にのみ行う儀式やお飾りなど、独自の風習が沢山あります。以下に、特にお問い合わせいただくことが多いお盆の風習をピックアップしてご紹介します。お盆を迎える前に基本を把握しておけば、安心してお盆を過ごすことができるでしょう。

お盆提灯

盆提灯の画像

お盆に飾る提灯は「お盆提灯」と呼ばれ、盆棚の脇やお仏壇の前に飾る風習があります。昔は灯りが贅沢品でしたので、提灯飾りは最上のお供え物であり、多いほど良いとされました。
なお、盆提灯は、床に置くタイプや吊り下げて飾るタイプ、モダンなデザインの提灯など様々な種類があります。住宅事情や地域の風習などを踏まえてお選びいただく形になります。

>>盆提灯の商品ページはこちら
>>盆提灯について詳しくはこちら

蓮の葉・水の子(みずのこ)

蓮の葉・水の子の画像

蓮の葉に、「水の子」と呼ばれるナスやキュウリを賽の目に切ったものに洗った生米を混ぜたものを乗せてお供えする風習があります。
煩悩を祓う意味があると言われています。

>>蓮の葉の商品ページはこちら

精霊馬(しょうりょううま)・牛馬飾り

精霊馬の画像

ご先祖様を乗せて、お浄土と私たちの世界の送り迎えをするための牛と馬のお飾りを「精霊馬」と呼びます。「行きは早く駆ける馬に乗って、帰りは別れを惜しみながら牛でゆっくりと帰る」という意味があり、キュウリは馬を、ナスは牛を表します。
ご自宅で作る場合は野菜、市販品の場合はワラや発泡スチロールで作られたものが多く、一般的には毎年取り替える形が通例ですが、近年では毎年使用できるちりめん製のものなどもございます。

>>牛馬飾りの商品ページはこちら

迎え火・送り火

迎え火・送り火の画像

地域にもよりますが、ご先祖様のお迎え・お見送りの際には、玄関先またはお墓の前で「迎え火」と「送り火」を焚く風習があります。
迎え火送り火については、次の項目で詳しくご紹介していきます。

迎え火・送り火って何?どうやるの?

迎え火送り火を焚いているイメージ画像

迎え火・送り火とは、お盆の時期に帰って来られるご先祖様のために焚く火のことです。お盆の初日には帰ってくる際の目印として「迎え火」を焚き、お盆の最終日にはあの世へと旅立たれるご先祖様をお送りのために「送り火」を焚きます。

一般的には「ホーロク」という素焼きのお皿に「おがら」と呼ばれる皮を剥いだ麻の茎を乗せて火を点ける形が通例です。昔は迎え火の炎からローソクに火をもらい、それを提灯の中に灯して使いました。
なお前述した通り、浄土真宗の場合はお盆にご先祖様が帰ってくるという考え方がないため、基本的に迎え火・送り火は焚きません。また、その他の宗派の場合も、地域によっては異なった形で行う場合もあります。

ホーロク

ホーロクとは?

安全に迎え火、送り火を焚くための素焼きのお皿です。

割れたりしない限りは毎年お使いいただけます。お盆が終わったらきれいに拭いてから保管しましょう。煤が取り切れず表面が黒くなってしまう場合もありますが、割れていなければ翌年もお使いいただけます。

>>ホーロクの商品ページはこちら

おがら

おがらとは?

お盆に送り火・迎え火を焚く際に使用します。燃やすときはホーロクの上で行ないましょう。

おがらとは植物の麻のことで、外側の皮をはいで出てくる中の芯の部分を使っています。麻は昔から「清浄」を表す植物として考えられており、これを燃やすことは清めの意味があります。

>>おがらの商品ページはこちら

迎え火・送り火のやり方を徹底解説!

迎え火と送り火をはじめとするお盆行事は、地域によって実に様々ですが、以下に一般的な迎え火・送り火のやり方をご紹介します。

【2022年のお盆】迎え火・送り火はいつ何時ごろに行なうべき?

前述した通り、お盆の期間は【8月13日~16日】または【7月13日~16日】の場合が一般的です。4日間あるお盆期間のうち、火を焚くのはいずれも13日(お盆初日)と16日(お盆最終日)の2回です。

■2022年度の迎え火・送り火日程

  • 迎え火…7月13日(水)、または8月13日(土)
  • 送り火…7月16日(土)、または8月16日(火)

時間帯は、迎え火・送り火ともに夕方ごろに行う形が一般的です。特に送り火については、「一緒にご飯を食べてからゆっくり戻ってほしい」ということで、日が暮れてから行う場合が多く見られます。
※絶対にこの時間と決まってはいませんので、都合にあわせて調整いただいても問題はありません。

迎え火と送り火のやり方に違いはある?具体的なやり方を解説

迎え火も送り火も基本的にやり方は同じですが、どこでどのように迎え火送り火を行なうかは地域によって様々です。以下に、迎え火・送り火の行い方2パターンと、一般的な火の起こし方と片付け方をご紹介します。

一般的な火の焚き方と片付け方

ホーロクにおがらを並べて火をつけましょう。並べ方に決まりはありませんが、空気が入りやすいよう井形や山状にして交互に組むと燃えやすくなります。また、一緒に新聞紙を少しちぎっておいても火をおこしやすくなります。
※ホーロクの準備が難しい場合には、ご自宅にある耐熱皿でも代用が可能です。

燃え尽きたら火の始末をし、灰や燃え殻をきれいにします。火が消えた直後のホーロクはまだ熱い場合があるのでご注意ください。この時に出たごみは、きちんと火が消えていることを確認して処分しましょう。

火を扱うので、風が強い日などは風を避けられるような安全な場所を選んでください。また、必ずバケツに水を入れて用意しておきましょう。
迎え火・送り火の具体的な流れ2パターン

①お墓参りに行かず、ご自宅のみで迎え火送り火を焚く場合

最近はお墓が遠方の場合も増えてきており、13日や16日は特にお墓へ行かず家で迎え火送り火を行なう方もいらっしゃいます。
玄関先やお庭など、火を起こしても安全な場所で行ないましょう。時間は夕方ごろが一般的ですが、決まりはありません。

②お墓へ行ってから迎え火送り火を焚く場合

もともとは、お墓で焚いた火を弓張提灯(お迎え提灯)という手持ちの提灯のローソクに移して家まで持って帰り、その火を使って家の前で迎え火を焚いていました。そしてこの迎え火から火をもらってお仏壇のローソクを点け、電気が無い時代はお盆提灯の中の灯りもこの迎え火から取っていたようです。
送り火はこの逆で、お仏壇のローソクの火を弓張提灯の中に移してお墓まで行き、お墓で送り火を焚いていました。また、中にはお墓の前で迎え火送り火を焚く風習がある地域もございます。

様々なタイプのお迎え提灯

地域によっては今も使用されるお迎え用の提灯は、伝統的なタイプだけでなく、近年は小さくかわいらしいモダンなタイプや、火事の心配がない電気式のローソクを使う場合もあります。

弓張提灯

伝統的なお迎え提灯です。ご家庭の家紋を入れてお作りします。昔は火を点けたローソクをこの中に立てていましたが、現在はローソク型の電池灯を入れて使う形が主流です。
なお、ご家紋を入れる場合はお日にちをいただくため、お盆前に余裕を持ってお作りいただくとご安心です。ご家紋を入れた弓張提灯のご注文は、お近くのはせがわまでお問い合わせください。

>お近くのはせがわ店舗を探す

小さいタイプのお迎え提灯

簡易タイプのかわいらしいお迎え提灯です。弓張提灯の代わりに、このような小さく絵柄の入ったものをお使いになる方もいらっしゃいます。
こちらの他にも、絵柄や色が異なる小さいお迎え提灯がございます。軽くて持ちやすいので、お子様と一緒にお迎え提灯を持ってお墓参りへ行かれてはどうでしょうか。

>小さい絵柄入りのお迎え提灯はこちら


※ご紹介したのはごく一部の例です。お墓で火を焚いても問題ないか、一言お寺様にご確認しましょう。

地域別の迎え火・送り火のやり方をピックアップ

迎え火・送り火は、地域によってやり方は様々で、またご家庭の考えによっても異なる場合があります。
ここでは、地域別の風習の一例をご紹介します。ご自身の地域がどのやり方か分からずご不安な方は、ご近所の方にお伺いいただくか、お近くのはせがわ店舗までご相談ください。

■迎え火・送り火の上をまたぐ(東京都の一部)

東京都などの都市部では、無病息災を願って迎え火と送り火の上をまたぐ風習があります。3回またぐ場合が多いですが、地域によっては1回のみだったり、またぐ際にお経(お題目)や地域に伝わる言葉を唱える場合もあります。

■「砂盛り(すなもり)」をする(神奈川県の一部)

砂盛り

神奈川県での一部地域では、ホーロクやおがらは使用せず、「砂盛り」と呼ばれる送り迎えの風習があります。

器に砂を入れるなどして砂を盛り、その上に竹筒を立ててお線香を焚いたり、一緒に盆花や精霊馬をお飾りする形が一般的ですが、家庭によって盛り方は様々です。

>>砂盛りの商品ページはこちら

■「たいまつ」を焚く(東海地方の一部)

たいまつ

東海の一部地域では、おがらではなく「たいまつ」を焚く風習があります。

焚き方自体はおがらと同様で、ホーロクの皿にくべて、迎え火・送り火の際に使用します。

>>たいまつの商品ページはこちら

火が使えない場合はどうする?代用品をご紹介

近年はマンションなどの集合住宅にお住まいの方も増えてきており、火を使うのが難しいということもあるかと思います。以下に、その場合の対処法を3つご紹介します。

①提灯を飾る

盆提灯をお仏壇周りに飾っている画像

盆棚の横に飾るお盆提灯は、おもてなしとしての灯りの意味合いだけでなく、「ここが家ですよ」という目印の役割もあります。迎え火・送り火の代わりに、家の中に明るいお盆提灯を飾ってあげることでご先祖様をお迎えして差し上げましょう。

>>提灯の紹介ページはこちら

②形だけ整える

ホーロクとおがらの画像

住宅のご事情で火が焚けないという場合も、ホーロクとおがらを用意して、玄関先やベランダなどに置いておくという方もいらっしゃいます。お気持ちが大切ですので、お盆提灯とあわせてお飾りいただき、ご先祖様をお迎えしましょう。

③ローソク型のものを使う

ローソクタイプの迎え火・送り火の画像

やはり火は焚いてさしあげたい、という方におすすめなのがこちらの商品です。ホーロクにおがらをのせた状態を模したローソクなので、室内でも安全に火をお使いいただけます。一般的なホーロクに比べて小さめのサイズですので、玄関先やお仏壇の横、盆棚の上など焚く場所を選びません。こちらの商品は1回使いきりですので、送り火・迎え火用で2つご用意ください。

>>ローソク型の送り火迎え火はこちら

迎え火・送り火ができなかった場合はどうする?

住宅事情の他にも、様々な理由で迎え火・送り火ができない場合もあるかと思います。ここでは、もし当日に行えない場合はどうすべきか対処法をご紹介します。

  • 都合が合わず当日にできない場合…お盆の前後でお墓参りに行き、ご先祖様へお迎えができないことのお詫びと日頃の感謝の気持ちをお伝えする。
  • 雨で外で火が焚けない場合…お盆提灯で代用するか、室内でも焚けるローソクタイプのものを使用する。または火を焚く日にち自体をずらす。
  • 忙しく当日にやり忘れてしまった場合…送り火だけ忘れてしまった場合は、気付いた時点でなるべく早く行う。迎え火から忘れてしまった場合は、代わりにお墓参りをする。

何よりも大切なのはご供養の気持ちですので、迎え火・送り火を行えなかったからと言ってバチが当たってしまうなどといったことはありません。しかし、日にちがずれてしまった場合などには、ご先祖様へのお詫びの気持ちを伝えるのを忘れないようにしましょう。

迎え火・送り火の道具はどこで買える?セット品はある?

迎え火・送り火に使用するホーロクやおがらは、仏壇仏具店といった専門店をはじめとして、ホームセンターのお盆コーナーやネット通販でもご購入いただけます。
なお、迎え火・送り火の関連商品は季節品のため、お盆時期が迫ると品薄になってしまう場合もありますので、日にちに余裕を持ってご準備いただくと安心です。

迎え火・送り火のやり方は地域によって大きく異なる場合がございますので、初めてお盆を迎える方は、まず地域の専門店でやり方などを確認しながら購入いただくのがおすすめです。
※はせがわでは、オンラインのご相談も受け付けております。

>>最寄りのはせがわ店舗を探す
>>はせがわオンラインショップで購入する

■セット商品はある?

はせがわでは、初めてお盆をお迎えする方へ向けて、迎え火・送り火用品や精霊馬など、必要なお盆用品一式を揃えたセット商品もご用意しています。

また、2年目以降の方には、毎年お買い替えが必要なお盆用品のみをセットにした商品をおすすめしています。

・初めてお盆を迎える方向け

・2年目以降の方向け

意外と身近なお盆の地域行事

「お盆=仏教の行事」という少し難しいイメージをお持ちの方も多いかもしれませんが、有名な京都の「大文字焼き」をはじめとして、意外と身近な行事にお盆と深い関わりがあったりします。以下に、いくつか有名なものをご紹介いたします。

京都大文字焼き

京都大文字焼きの画像

例年、8月16日(送り盆)の夜に行われる京都の伝統行事「大文字焼き」は、正確には「五山の送り火」と呼ばれ、前述した「送り火」と同様に、お盆に帰って来られたご先祖様の霊を送るための行事です。

その起源は平安時代とも室町時代とも言われ、京都市登録無形民俗文化財にも登録されている歴史ある風習と言えます。京都盆地の周囲の山に、「大・妙法・船形・左大文字・鳥居型」の5つが炎で描かれるのが特徴で、近隣の人々はこの炎を見ながらご先祖様へ想いを馳せ、お見送りをするとされています。

盆踊り

盆踊りの画像

盆踊りは元来、亡くなった方の霊を迎えて慰めるための踊りで、その起源は平安時代中期に浄土教を広めた空也上人がはじめた「踊り念仏」にさかのぼるという説もあります。

有名な徳島の阿波踊りも、もとは盆踊りだと言われています。

精霊流し

精霊流しの画像

お盆の風物詩として知られる「灯籠流し」ですが、中でも有名なのは、やはり長崎の江迎千灯籠(えむかえせんとうろう)祭りです。

十五日夜、亡くなった人の霊を精霊船に乗せて西方浄土に送る行事です。爆竹や鉦(かね)が鳴り響く中、大小さまざまな船が列をなします。

打ち上げ花火

打ち上げ花火の画像

今ではすっかり夏の風物詩となった打ち上げ花火ですが、もとはお盆の行事から始まったとされ、初精霊の供養に花火の火の粉で灯籠焼を行なったと言われています。

中でも毎年8月17日に行われる熊野大花火大会は約300年の伝統を誇っています。

お盆に関するよくあるご質問

夏のイメージ画像

最後に、お盆に関してお寄せいただくことが多いご質問をピックアップしてご紹介します。
お盆に関する疑問は事前に解消して、すっきりした気持ちでお盆を迎えしましょう。

Q1.なぜ「お盆以降は海や川に入ってはいけない」と言われるのでしょうか?

お盆を過ぎたら、海や川に入ったり、水遊びをしてはいけない」という話を耳にしたことがあるのですが、どうしてでしょうか?

A.言い伝えによる俗説的な理由もあれば、台風やクラゲの発生などの物理的な理由もあります。

①俗説的な理由
お盆時期は、あの世からご先祖様が帰って来られる時期であることから、「お盆に海や川に入ると、あの世から帰ってきた霊に連れていかれる」「川に引き込まれる」という言い伝えが広まったとされています。また、本来はご先祖様を丁寧にお迎えすべき時期に、海や川へ遊びに行くという行為を戒めるために伝えられた話とも言われます。

②物理的な理由
8月を過ぎると、台風や高波が発生しやすく、水難事故のリスクが高まることから、お盆時期の海は危険だという言い伝えに繋がったとも言われています。その他にも、クラゲの発生時期と重なる、お盆頃から水温が下がり始める、「土用波(どようなみ)」と呼ばれる突然の大波が発生するなど、お盆時期の海には様々な危険性があり、これらを防ぐための言い伝えとも考えられます。

Q2.お盆にほおずきを飾る意味はなんですか?

お盆時期には、仏壇や盆棚にほおずきが飾られることが多いですが、どういった意味があるのでしょうか?

A.提灯と同様に、ご先祖様を迎える際の灯りとしての意味合いがあります。

ほおずきは「鬼灯」とも書く通り、温かみのある色味と膨らんだ形から、提灯と同じくご先祖様をお迎えする際の灯りとしての役割を持つようになりました。また、ほおずきの中が空洞であることから、肉体を持たないご先祖様は、お盆の間はほおずきの中に魂を宿らせるとも考えられています。

Q3.お彼岸とお盆の具体的な違いはなんですか?

お彼岸もお盆もご先祖様の供養をする期間だと思いますが、具体的に何が違うのでしょうか?

A.「ご先祖様があの世から帰って来られるかどうか」が大きく異なります。

お彼岸は、あの世との距離が近くなって想いが通じやすくなる時期であることから、あの世にいらっしゃるご先祖様を偲んでご供養をする期間です。一方のお盆は、あの世からこの世に帰って来られるご先祖様をお迎えして、直接ご供養する期間です。

ご供養のご相談ははせがわへ

ご供養のプロであるはせがわは、お盆の迎え方や過ごし方をはじめとして、皆様がお持ちの仏事に関する様々なお悩みをサポートいたします。

疑問やご不明な点等がございましたら、はせがわまでお気軽にご相談ください。ご相談の際は、お近くのはせがわ店舗へのご相談(ご来店またはフリーコール)のほか、オンラインのメール相談もご利用いただけます。

お盆関連記事はこちら

お盆提灯の総合ぺージはこちらです。

「お盆提灯」特設通販サイトのサムネイル画像

はせがわの「お盆提灯」特設通販サイト

お盆はご先祖様や故人様を優しくお迎えする風習です。2022年の新作盆提灯に加え、セット品や盆棚など豊富な商品紹介のほか、お盆の期間や意味、新盆についての解説もしています。

この記事を読んだ方は以下の記事も読んでいます。